2018年冬CCS特集:アークスパン

合成依頼をワークフロー化、蓄積データを機械学習へ

 2018.12.04−アークスパンは、完全クラウドサービスによるインフォマティクスソリューション「ArxLab」(アークスラボ)を提供するベンダー。2011年の設立以来、化学および医薬・バイオ分野にフォーカスして、約60社への採用実績を築いており、二ケタ成長を続けている。電子実験ノート、化学・生物情報の登録、アッセイデータ管理、インベントリー管理、データ解析といった一連のアプリケーションが共通プラットホーム上で連携することが強み。今年から来年にかけては、ワークフローやコンプライアンスを焦点に機能強化を図っている。

 ArxLabは、ケムアクソンのケミストリーエンジンを核にしたシステムで、クラウド経由で使用するため、ウェブブラウザーだけでどこからでも利用でき、スケーラビリティーに優れることが特徴となっている。ユーザーの業務スタイルに柔軟に対応できる設定機能を持つことに加え、オープンなAPI(アプリケーションプログラミングインターフェース)を使って、外部ソフトやオンプレミスの社内システムと接続・連携させることも可能である。

 とくに、新しいワークフロー機能は、電子実験ノートから社内外のパートナーに対する合成依頼、試験依頼、評価依頼、知財部門との情報共有を容易に実現することができる。リクエストのためのフォームは相手先に応じて自由に設計可能で、情報へのアクセス権限もグループごとや個人単位などで細かく設定可能。依頼を受ける側とのやり取りも、依頼内容の修正や優先度の変更など、確実にコミュニケーションが取れるように設計されている。それぞれの依頼全体の進行状況をタイムリーに把握することができるようになっている。

 来年には、電子ノート以外のアプリケーションともワークフローが緊密に連携するようになるが、その際に重要なのがコンプライアンス機能だという。これは、法令などに基づいたルールを組み込み順守させる機能で、問題発生時や査察が行われたときなどに、実験記録を適正なかたちで追跡することが可能になる。

 一方、AI創薬などの機械学習へのニーズが高まっていることを背景に、新機能「データパブリッシャー」が提供開始された。ArxLabに蓄積されていく研究情報を随時取り出して社内にダウンロードし、社内データと統合するなどして機械学習に利用することが可能。データの受け渡しを効率化するデータ記述言語であるREST/JSON技術を採用し、顧客データベースに対して、更新分のデータをシンクロさせる仕組みである。ユーザーは高速かつ堅牢な方法でクラウドからデータを取り込むことができるという。


ニュースファイルのトップに戻る