2018年冬CCS特集:モルシス
中韓などアジア市場も開拓、計算でMI用データ生成
2018.12.04−モルシスは、生命科学と材料科学の両分野の研究開発を支援する計算科学ソフトやデータ管理システムを提供。菱化システム(現在の三菱ケミカルシステム)の30年にわたるCCS関連事業を引き継いでスタートしたベンダーで、海外を中心に20社以上の製品を取り扱っている。いわばCCS専門のコンシェルジュのような存在。
生命科学分野の主力製品は、加CCGの統合計算化学プラットホーム「MOE」。国内では創薬研究に幅広く使われており、最近は中分子、核酸、抗体医薬などの研究に対応した機能が注目されている。菱化システム時代からアジア市場での普及も担当しており、あらためて中国や韓国にも正規代理店を置いた。アカデミアや欧米製薬企業の研究拠点が主な顧客だったが、このところ現地の製薬企業からの注文も増えている。
また、来年に向けてはバイオインフォゲートの「OFF-X」の紹介に力を入れる。これは医薬品の有害事象を追跡した安全性情報サービス(日次更新)。コンテンツが充実し、毎週4,000件のアラートが得られるため、前臨床と臨床研究との橋渡しになるとして注目度が高まっている。さらに12月からは、タンパク質−タンパク質などの相互作用情報を安全性情報と組み合わせたインタラクトーム関連の新しい製品も提供開始する。
加えて、ケモターゲットの「CLARITY」は、低分子の治療活性と安全性のプロファイルを解明するための高度な予測機能を実現。11月にバージョン3.0に機能強化されており、米食品医薬品局(FDA)の有害事象データベースFAERSに対応している。そのほか、MN-AMの安全性・リスク評価ソリューション「ChemTunes」「ToxGPS」にも力を入れる。統計的な予測と、毒性実験データに基づくエビデンスを取り入れて重み付けするリードアクロス機能が本格的に組み込まれたことが特徴になる。
一方、材料科学分野はマテリアルズ・インフォマティクス(MI)市場への展開を強化する計画。具体的には、マテリアルズデザインが開発した「MedeA-HT」を戦略商品に位置付けている。これは、多数のモデル構造に対し、同じ条件を適用した計算を実施し、大量のデータを生成するためのツール。構造情報や物性データを合わせてテーブル形式で格納する機能があり、計算手順のフローチャートに従って、多数の計算を並列処理させることが可能。機械学習させるために不足しているデータを補うことができ、最初の設定をうまく行えば、機械任せでどんどんデータを蓄積することが可能だ。