ノーザンサイエンスコンサルティングが薬物性肝障害予測ソフト
米ディリシムと代理店契約、臨床研究を支援
2019.03.09−ノーザンサイエンスコンサルティング(NSC)は、米シミュレーションズプラス(SLP)グループを構成するディリシム(DILIsym Services)と代理店契約を締結し、薬物性肝障害(DILI)などに関する定量的システム毒性学(QST)のソフトウエア技術を提供開始した。数学モデルをあらかじめ組み込んだ予測ソフトの販売、コンサルティングサービスを提供するほか、先端の技術開発を行うコンソーシアムへの加入も呼びかけていく。6月には開発元の主要メンバーを招へいし、国内でセミナーやワークショップを開く計画だ。
ディリシムは2017年6月にSLPグループに統合されたが、もともとは2011年にDILI研究で世界的に著名な米ノースカロライナ大学のワトキンス教授が組織したDILI予測コンソーシアムが母体で、2014年に企業として設立されている。現在も「DILI-simイニシアティブコンソーシアム」は継続されており、ピーク時には5〜6社の日本企業も参加していたという。
同社では、開発した成果物を「DILIsym」の名称でパッケージソフト化し、一般販売している。臨床試験に入る前、あるいは臨床試験の実施中に使用するケースが多く、DILIの可能性のある候補をランク付け、動物および in vitro データをヒトに外挿、臨床用量の最適化、測定されたバイオマーカーに基づく障害の大きさの予測、健康なボランティアから患者集団への外挿、臨床試験における新たなバイオマーカー測定の導入、観察された肝からのシグナル分析、精密医療アプローチにつながるリスクファクター検証−などに役立つ。
相互作用のサブモデルとして、薬物排泄のPBPKサブモデル、トランスポーター阻害によるホメオスタシスの胆汁酸発現および破壊、ミトコンドリア機能および脂質代謝と脂肪毒性を含む機能不全サブモデル、酸化ストレスの発生とクリアランスのサブモデル、肝細胞アポトーシスと壊死および再生の細胞死発現などを含んでいる。
また、そのほかのパッケージソフトとして、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)および非アルコール性肝炎(NASH)に対応する新薬候補薬物の有効性を予測する「NAFLDsym」がある。肝臓生理学および代謝疾患に関する長年の専門知識を利用して開発されており、臨床試験プロトコルの最適化にも役立つという。
さらに、別のコンソーシアムとして、薬物誘因性腎障害を予測するための「RENAsymコンソーシアム」もスタートしている。こちらは、2020年秋に最初のソフトウエアをリリースする予定となっている。
ノーザンサイエンスコンサルティングでは、パッケージソフトのライセンス価格について、日本市場で導入しやすい設定を行ったうえで販売していく計画だ。
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<関連リンク>:
ノーザンサイエンスコンサルティング(トップページ)
http://www.northernsc.co.jp/
シミュレーションズプラス(トップページ)
https://www.simulations-plus.com/
シミュレーションズプラス(ディリシムの紹介プページ)
https://www.simulations-plus.com/dilisym-services/