英CCDCの結晶構造データベースが100万件に到達

N複素環式化合物を登録、創薬・材料研究の基盤データ拡大

 2019.06.21−英ケンブリッジ結晶学データセンター(CCDC)は、ケンブリッジ結晶構造データベース「CSD」に登録されているデータ数が100万件に達したと発表した。これは、N複素環式化合物で、複数の反応段階を順次活性化するカルコゲン結合触媒を用いて得られたもの。「CSD」は有機化合物・有機金属化合物の結晶構造データベースで、分子の立体構造を正確に知ることができるため、医薬・農薬の研究開発でよく利用されている。最近では、電池・塗料・顔料・染料などの材料研究、ガス貯蔵物質やテーラーメード触媒開発などの分野での利用も増えているという。

 「CSD」に登録された100万件目の構造は、1-(7,9-diacetyl-11-methyl-6H-azepino[1,2-a]indol-6-yl)propan-2-one(CSD Refcode:XOPCAJ)。原著論文は山東大学(中国)のYao Wang教授らによるもので、Journal of the American Chemical Society(JACS)に掲載された。この論文では一群の特殊なカルコゲン結合触媒が報告されており、小さい分子を組み立てるのと同様な方法でN複素環式化合物を効率的に合成できるという。

 今回の100万件目が象徴しているように、最近は中国で行われた研究に基づく登録が継続的に増えている。CCDCでは、生命科学・材料科学研究において、中国が科学的発見を先導する時代になっているとコメントしている。

 なお、「CSD」の簡易的な検索や登録されているCIFデータのダウンロードは無償で行うことができるが、企業などがこれらのデータを研究に活用するための有償のソフト・サービスも各種用意されている。国内では、化学情報協会が代理店となって提供中。







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<関連リンク>:

英ケンブリッジ結晶学データセンター(トップページ)
https://www.ccdc.cam.ac.uk/

英ケンブリッジ結晶学データセンター(100万件達成特設サイト)
https://www.ccdc.cam.ac.uk/csd-1-million/

英ケンブリッジ結晶学データセンター(検索ページトップ)
https://www.ccdc.cam.ac.uk/structures/

化学情報協会(CSD製品紹介ページ)
https://www.jaici.or.jp/wcas/wcas_ccdc.htm


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