CCS特集2019夏:アークスパン
ブルカーと合併で再始動、ワークフローの連携に強み
2019.06.21−アークスパンは、完全なクラウドサービスによるインフォマティクスソリューション「ArxLab」(アークスラボ)を提供している。電子実験ノート、化学・生物情報の登録、アッセイデータ管理、試薬管理、データ解析といった一連のアプリケーションを連携的に利用することが可能。ここ数年で、国内での導入実績も順調に拡大してきている。
同社は、今年3月にNMRなどの大手分析機器メーカー、ブルカーに買収され、新しい組織体制のもとで新たなスタートを切っている。具体的には、核磁気共鳴装置(NMR)、電子スピン共鳴装置(ESR)、時間領域核磁気共鳴装置(TD-NMR)、核磁気共鳴イメージング装置(NRI)などを扱うバイオスピン事業部にソフトウエアビジネスとして組み入れられている。当面はアークスパンブランドでこれまで通りの活動を継続するが、今後合併のシナジーが徐々に図られていくとみられる。
ブルカーとアークスパンは、どちらも本拠地がマサチューセッツ州ボストン近郊で、顧客が共通していたこともあるが、今回の買収の理由としては、アークスパンがクラウドベースのアプリケーションであり、使い勝手や利便性に優れていること、さらに電子ノートから分析部門へのワークフロー管理など、装置事業と連携できる要素が高く評価されたようだ。
このワークフロー機能は、最近電子ノートに搭載された新機能で、外部パートナーを含めた化合物の合成依頼、分析部門への試験依頼、品質管理部門への評価依頼、知財部門との情報共有などを柔軟に行うことが可能。リクエストのためのフォームはデータ項目やテーブルなどを自由に設計でき、フィールドごとに細かな設定をすることも容易に行える。
また、この機能を利用してカスタムテンプレートを用意し、エクセルの行列を特定のフィールドにひも付けておけば、エクセルで管理していたさまざまな実験記録を電子ノートに一括登録することも可能。ノートに取り込んでしまえば、データ分析も簡単に行えるようになるため、化学・材料メーカーからも注目度が高いという。