CCS特集2019年夏:コンフレックス
海外での学会発表活発化、結晶解析機能の精度を向上
2019.06.21−コンフレックスは、長年の実績が認められ、昨年文部科学省が指定する「研究機関」に登録されたことを機に、海外の学会での研究発表の機会を増やす方針。自社開発の配座空間探索ソフト「CONFLEX」の普及をグローバルに加速させていく。
同社は、非経験的分子軌道法プログラム「Gaussian」(米ガウシアン)、分子動力学法プログラム「AMBER」(米カリフォルニア大学)、化学者向け統合ソフト「ChemDraw/ChemOffice」(米パーキンエルマー)といった海外製品を含め、トータルな計算化学ソリューションを提供している。
とくに、最新版CONFLEXは、結晶などの巨大な系を解析する機能を引き続き強化しており、部分的に構造を固定した構造最適化・配座探索機能を新たに実装している。また、ピーク同士の重なりを考慮したX線回折パターン類似性評価方法を導入しており、実験データと計算結果の類似性を正確に評価して、より精密に構造を決定することが可能になっている。製剤研究や材料研究で有用になるという。
さて、学会活動に関しては、先週ニューヨークで行われたICOSS XXIV 2019(有機固体化学国際会議)で「計算機シミュレーションによるソフトクリスタルの相転移解析」のタイトルでポスター発表を行った。テレフタル酸アミド結晶の多形転移メカニズムシミュレーションで明らかにしたというもの。また、来週イタリアのピサで開催されるCD 2019(円偏光二色性に関する国際会議)のポスターセッションでは2件の発表を行う。Ru(II)-Pheox触媒によるシクロプロパン化反応のエナンチオ選択性について、配座探索を含む計算化学的手法で解析したこと、さらに、外場からのクーロン相互作用を含む新しいSCF-CI-DV法を開発し、金属錯体や分子性結晶中でのECD計算に適用した研究内容を報告する。
とくに、円偏光二色性スペクトルは配座によって予測結果が大きく異なるという。最安定構造からの予測だけでは実験結果と合わないため、さまざまな配座による計算結果を足し合わせることが必要。CONFLEXによる解析が有効な典型例のひとつになるということだ。