CCS特集2019年夏:インテージヘルスケア

CROと創薬支援を統合、インシリコ受託事業を強化

 2019.06.21−インテージヘルスケアは、インテージグループでCRO(医薬品開発受託機関)事業などを展開するアスクレップと、医療市場調査・マーケティングリサーチなどを行うアンテリオが今年4月に経営統合して発足した新会社。これまで培った医療現場理解への高い専門性と、インテージグループの強みである一般生活者のインサイトや豊富なリサーチを活用し、より良い決断へ導くための“情報”を、医療消費者、医療提供者、医療製品メーカーやサービス企業に提供することを目指していく。

 とくに、旧アスクレップは2015年に独自の創薬支援技術を持つ京都コンステラ・テクノロジーズと資本業務提携し、2016年には子会社としていた。今回の経営統合により、インテージヘルスケアの事業内容は、マーケティングリサーチ、CRO、創薬支援、医療経済分析、処方情報分析、プロモーション支援など幅広い領域に拡大したが、京都コンステラの技術とサービスも主に“創薬支援”事業として引き継がれている。

 その中でも注目度が高いのが医薬分子と標的タンパク質との結合情報から抽出された結合パターンから活性化合物を予測する“相互作用マシンラーニング法”(CGBVS)と、それをパッケージ化したソフト「CzeekS」。AI創薬ブームで評価が高まってきているため、予測モデルの構築に当たって、従来の統計的手法に加え、深層学習などのAI手法を取り入れられるように機能強化した最新バージョンを今年の秋にリリースする。

 また、アフィニティサイエンスおよび理論創薬研究所と共同で展開している創薬支援インシリコサービス「ACISS」にも引き続き力を入れる。3社連携をさらに深め、創薬戦略のコンサルティングから具体的なターゲットに対するバーチャルスクリーニングまで、柔軟で緊密なサービス提供を行う。さらに今回、アカデミアサポートプログラムもスタートさせた。これは、アカデミア創薬に取り組む大学などの研究グループに対して、無償で「ACISS」を提供するというもの。論文発表など成果を公開することが前提で、年間数件程度のプロジェクト実施したいとしている。いずれにせよ、上場企業であるインテージホールディングスがバックにあることで信用度が増したことにより、こうした受託事業も一段と活性化すると期待される。


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