CCS特集2019年夏:分子機能研究所
独自技術で創薬研究支援、高度な計算化学機能を搭載
2019.06.21−分子機能研究所は、独自のモデリング技術を利用してインシリコ創薬受託サービス「MFDD」を提供開始した。30年の研究実績をベースに、ストラクチャーベースおよびリガンドベースの計算化学技術を柔軟に駆使して幅広いニーズに応えるもので、低料金で実施し、初回契約から半年以内であれば2回目以降は基本料金が無料などのキャンペーン中ということもあって、好調な引き合いを得ているという。
MFDDは、単純な受託計算ではなく、事前調査や論文調査を含めて顧客に最善の手法を適用する受託研究サービス。対応可能な技術としては、ホモロジーモデリング、タンパク質二次構造予測、立体構造予測、分子動力学計算、リガンド結合部位予測、基質結合部位予測、相互作用部位予測、精密ドッキング解析、タンパク質−タンパク質ドッキング、生体高分子システムモデリング、インシリコスクリーニング、化合物ライブラリー構築、リード最適化、類似構造探索、量子化学計算、フラグメント分子軌道法計算、QM/MM計算、ONIOM計算など。
今年から本格的にサービス開始したが、いままでのところ大学の医学部系からの依頼が多いという。計算化学の専門家が身近にいないため、同社のノウハウを頼みにしているとみられる。費用は、基本料金が一般20万円、アカデミック10万円で、研究内容に応じて費用が加算される。
また、同社では分子モデリングシステムのパッケージ販売も継続。これは、米ハイパーキューブの「HyperChem」をベースにした自社開発製品で、ユニークな機能を備えている。例えば、ドッキング解析で多用されるAutoDock Vinaを利用したインシリコスクリーニング機能を実現。通常はファイルをひとつずつ処理しなければならないが、バッチファイルを連続的に実行する設定を簡単に行えるようにしている。実際に、計算の準備から結果の解析まで、20個の化合物をスクリーニングする操作をユーチューブに公開している。
また、Gaussianで利用できるONIOM計算を簡単に実行するためのインターフェースも搭載している。レセプターとリガンドなどの生体高分子と低分子からなる全体構造をレイヤーに分割して効率良く計算する手法で、DNAと中分子、RNAと低分子などにも対応可能。パラメーターを一切編集することなく数秒で入力ファイルを自動的に生成できる。専用のGaussViewを用いて詳細な編集を行うという使い方も有効だという。
同社では、HyperChemの販売も合わせて行っており、サイトライセンスキャンペーンを展開中。256台分の年間使用権を、アカデミック35万円、一般向け55万円で提供している。