CCS特集2019年夏:Monocl
AIで外部の専門家探索、台頭する若手研究者を発見
2019.06.21−スウェーデンを本拠とするMonocl(モノクル)は、ヘルスケア/ライフサイエンス領域をコアに、世界中の研究者・医師350万人に関する検索サービスを提供している。単純なデータベースではなく、人工知能(AI)/機械学習を応用したことがミソで、メディカルアフェアーズ、研究開発、マーケティングなどの目的で、ふさわしい外部の専門家を素早く見つけ出すことが可能。欧米では2016年からサービスが開始され、これまでに120社以上の顧客と契約しているが、日本市場にも昨年から本格進出し、すでに数十社のユーザーを獲得している。
Monoclは、学術文献(PubMed、2,100万出版物)や臨床試験情報(ClinicalTraials.、45万試験)、企業が研究者・医師に講演料や研究協力金を支払った情報(米国政府が運営するCMS.gov、310億ドル分)、欧米を中心にした助成金情報(5,500億ドル分)の情報からキーワードを抽出・標準化し、人名や組織名に関して非曖昧化/名寄せを行い、網羅的に機械学習させたもの。インターネット経由で利用でき、さまざまなフィルターを利用することで、求める研究者・医師をあぶりだすことができる。
とくに、特定の領域で台頭してきている若手研究者(ライジングスター)を見つけ出せることが特徴。その分野のキーオピニオンリーダーとの太い関係、多くの組織との共同研究、論文数/活動傾向、所属や年齢、学会発表の経験など、網羅的な情報からその関係や活動を視覚的に分析できるため、説得力のあるかたちでふさわしい人物を特定できるという。
利用者は製薬企業がメインで、メディカルアフェアーズや研究開発に関連して、外部のコンサルタントやアドバイザーを探すために使われることが多い。また、創薬などを行うバイオテクノロジー企業のほか、科学機器・分析装置メーカーからも注目されているということだ。欧米では、MR(医薬情報担当者)向けのCRMシステムと連携させた使い方でも実績がある。
Monoclの大もとになるデータは毎週更新されており、今年の夏には新たに学会などのコンファレンス関連の情報もソースに加える予定。また、現在は英語の情報だけだが、将来は日本語の文献などにも対応したいとしている。
なお、利用料金は年間あるいは複数年契約の指名ユーザーライセンス制で、一人当たり100万円程度から利用が可能となっている。