CCS特集2019年夏:ウェイブファンクション

16コア以上の高並列動作、文科省指定SSHで導入も

 2019.06.21−ウェイブファンクションは、分子モデリングシステムの最新版「Spartan '18」について、今年の春にはマッキントッシュやLinuxを含めたすべてのプラットホームでのリリースを開始。価格表も改定し、保守契約ユーザーのバージョンアップに加えて、新規ユーザー向けのパッケージ販売も本格的にスタートした。高度な分子軌道計算が行えるだけでなく、初心者にもわかりやすく使いやすいため、大学や高専、高校での教育用途で広く使われていることが特徴だ。

 Spartan '18は、シングルコア版と16コアまで使用可能なパラレルスイート版、コア数無制限のパラレルスイートGt16−の3パッケージが用意されている。シングルコア版は教育機関向け17万4,000円(1年間保守契約付き)、政府系機関向け34万8,000円(同)、一般向け52万2,000円(同)、パラレルスイート版は同様に22万8,000円、45万6,000円、68万4,000円となっており、この価格は前バージョンであるSpartan '16と変わらない。ただ、Spartan '16は最大8コアのサポートだったため、最新版は同価格で16コアまで使える利点がある。パラレルスイートGt16は今回からの新しいパッケージで、価格は同様に36万円、72万円、100万8,000円となっている。なお、いずれも3年間保守付きの価格も用意されている。

 とくに、ヘビーな計算を実施するパワーユーザーからは高速化されたと好評。コア数の多いハードウエアを用意するために費用はかかるが、64スレッドで並列動作させた場合、シングルコアの約40倍のパフォーマンスが得られるということだ。

 また、弘前大学の橋本勝教授らとの共同研究に基づく“計算レシピ”機能が組み込まれたことへの関心も高い。これは、複雑な天然物の構造決定を行う技術で、独自の補整を加えた計算手順を自動化することができる。他の分子軌道法ソフトよりも精密な化学シフトを求めることが可能。ここ数年、学会発表なども積極的に行ってきているがさらに周知を広げる努力を払っており、最近では関連する講義内容などをYouTubeでみることもできる。

 大学の研究や教育での利用例が多いのがSpartanシリーズの特徴だが、最近では高校教育に用いられる例も増えている。とりわけ、文部科学省が推進している「スーパーサイエンスハイスクール」(SSH)に指定された学校での導入が多い。高校生の教育課程では、分子軌道法自体を十分に理解することは難しいが、それでもそうした早い段階で計算化学という研究手法の存在を知り、実際に体験してみることが有効だと考える教員も増えている。実際に、SSH指定校の横のつながりで、Spartanへのニーズが広がっていると感じるということだ。


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