富士通がポスト「京」開発の最新状況公開

専用CPU量産を開始、共用開始スケジュールに向け順調

 2019.05.16−富士通は、毎年恒例の「富士通フォーラム」で次期スーパーコンピューター『ポスト「京」』の開発状況を公開する。「富士通フォーラム2019」は17日に開催されるが、14日の内覧会で報道陣に披露された。昨年の展示と変わった点は、CPUの製造が実際に開始されているため、回路を形成したシリコンウエハーが初公開されたこと。展示中のCPUチップ自体もおそらく実物だと思われる。今月末には、理化学研究所からポスト「京」の正式名称も発表される予定となっている。

 ポスト「京」に使用されるプロセッサーは、Arm v8.2-A SVE命令セットに準拠しており、1年前は名前が決まっていなかったが、昨年秋から「A64FX」と呼ばれるようになった。今年3月から量産レベルで製造が開始されているとのことで、1チップに計算ノードとして48コア+2アシスタントコア、I/O兼計算ノードとして48コア+4アシスタントコアが搭載されている。1チップ当たりの理論演算性能は、2.7テラFLOPS以上(倍精度)となる。

 このCPUを2個搭載したCPUメモリーユニットはポスト「京」の心臓部となるもので、展示されているものは昨年と同じ試作品。同ユニットを挿入する専用ラックは表と裏が背中合わせで1体の構造で、1列48枚が表と裏に2列分ずつ(計4列)入ることになり、トータルでは192枚/384ノード(1CPU/1ノードのため)がラック当たりの最大構成。

 同社では、商用スーパーコンピューター「PRIMEHPC FX100」の後継機をこのラック単位で製品化する計画で、こちらは今年度下期から販売を開始する。主な仕様としては、ノード当たりのメモリー容量が32ギガバイト(HBM2、4スタック)、メモリーバンド幅は毎秒1,024ギガバイト、TofuインターコネクトDが装備される。

 現行の「京」は今年8月16日で運用終了となり、それを撤去したあとのスペースにポスト「京」のハードウエアが搬入される。最大で「京」の100倍のアプリケーション実行性能を達成する予定で、消費電力も「京」の12.7メガワットに対し、30〜40メガワットと増えるが、システム全体の設置面積としては、現行の「京」よりもかなり小さくなるという。ハードの製造は石川県かほく市の富士通ITプロダクツで行われており、2021〜2022年の共用開始を目指すスケジュール通りに進行しているということだ。




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富士通(テクニカルコンピューティングのトップページ)
https://www.fujitsu.com/jp/solutions/business-technology/tc/


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