アドバンスソフトが「Advance/NanoLabo」をクラウド対応
ExabyteとRescaleをサポート、異なるユーザーニーズをカバー
2019.10.17−アドバンスソフトは、ナノ材料解析統合GUIソフト「Advance/NanoLabo」のクラウド対応を推進する。現在、米エクサバイト社のSaaS型材料モデリングサービス「Exabyte.io」(エクサバイト・アイオー)で利用することができるが、来年春には新たに米リスケールの「Rescale ScaleX Platform」を利用して高速にシミュレーション演算を行うことができるようにする。それぞれ、異なるユーザー層が想定されるため、具体的な活用が進むと期待される。
Advance/NanoLaboは、材料設計分野で多用されるQuantumESPRESSO(第一原理計算)やLAMMPS(分子動力学計算)などのオープンソース(OSS)ソルバー、また自社開発のAdvance/PHASEをグラフィカルに操作するために開発された。材料データベースとして、Materials Project(無機結晶)とPubChem(分子系)を検索し、計算モデルを構築、実際にシミュレーションを実行するまでをわかりやすい操作で行うことができる。
最新版としてバージョン1.3が9月末にリリースされたばかり。モデリング機能として、セル並行移動、スーパーセル、不純物置換モデル、格子欠陥モデル、表面モデル、界面モデル、有機分子の描画、溶媒分子の充填、表面への小分子吸着、Primitive Cellの自動決定、Standard Cellの自動決定、空間群の判定、計算機能として、SCF計算、構造最適化、バンド構造、状態密度、第一原理MD、古典MD、TD-DFT(UV可視スペクトル、誘電関数)、Phonon(振動モード、バンド、状態密度、IR強度)、NEB法、仕事関数(ESM法)などを行うことができる。また、今回新たにリリースされた機能強化型の「Advance/NanoLabo/Pro」では界面ビルダーを使用することが可能。
クラウド対応については、「Exabyte.io」の利用がすでにサポートされている。これはSaaSであるため、手元のPCなどへのAdvance/NanoLaboのインストールは不要で、ブラウザーからExabyte.ioにアクセスすることにより、リモートデスクトップでAdvance/NanoLaboの操作画面が立ち上がる。使い方や機能は通常の製品とまったく同じだ。利用に当たっては、エクサバイト社の代理店である伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)との契約が必要。Advance/NanoLaboのライセンスも必要だが、短期間の利用が想定されるとして、特別に月単位でのライセンスを提供する。
一方、リスケールの「Rescale ScaleX Platform」への対応は、次期バージョン1.4からサポートされる。こちらはサーバーをホスティングするイメージであり、HPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)に特化した資源が豊富に用意されており、強力なパワーを必要とする本格的な材料シミュレーションを高速度に実行することが可能。Advance/NanoLaboのジョブ投入画面からRescaleを選択するだけで、ソルバーの環境構築はリスケール側で行われているため、ユーザーはローカルで計算を実行しているのと同じ感覚で使用できる。使った分だけの従量課金で、いつでもすぐに計算を流すことが可能。大規模に計算を行うパワーユーザー向けのサービスになる。
材料モデリング&シミュレーションは、マテリアルズ・インフォマティクス(MI)の関連で注目度が高いが、扱う系が大きくなるために、本格的に行おうとすると計算能力不足が問題化する。その意味で、クラウドを利用することが解決策になると考えられる。
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<関連リンク>:
アドバンスソフト(Advance/NanoLabo 製品紹介ページ)
http://www.advancesoft.jp/product/advance_nanolabo/