2019年冬CCS特集:コンフレックス
国産ソフトで設立20周年、実測値対応の結晶構造群探索
2019.12.03−コンフレックスは、計算化学を専門とするベンダーで、自社開発の配座空間探索プログラム「CONFLEX」を製品化し、来年4月で設立20周年を迎える。バージョンアップを着々と行うとともに、米ガウシアンの非経験的分子軌道法プログラム「Gaussian」、米カリフォルニア大学で開発された分子軌道法プログラム「AMBER」、米パーキンエルマーの化学者向け統合ソフト「ChemOffice/ChemDraw」といった海外製品も戦列に加え、計算化学関連の受託サービスも含めて、幅広いニーズに応えるソリューションを用意している。
主力製品のCONFLEXは、12月にバージョン8 リビジョンCがリリースされる。ニーズの高い分子性結晶計算/結晶構造探索機能を引き続き強化しており、最新版では計算で得られた多数の結晶構造をクラスター解析し、画面を分割して複数の構造や配座を表示することで、実測値に対応した結晶構造群を見つけ出すことが容易になった。
また、構造からNMRスペクトルを予測する機能や、紫外線(UV)/円偏光二色性(CD)スペクトル解析機能の柔軟性を考慮し、ユーザーがパラメーター設定を行うことができるようになった。さらに、大量の構造情報を含む大容量ファイルの読み込み速度を大幅に高速化したほか、配座の重ね合わせ表示機能の改良、配座の変化を動的に追跡するDRC計算結果のアニメーション表示などの新機能が追加されている。
一方、Gaussian16も今年7月にリビジョンアップしており、いくつかのモデリング機能が強化された。とくに、NBOバージョン7への対応、電荷計算におけるRESP(抑制された静電ポテンシャル)のサポートなどが注目される。前者は電子状態を解析する自然結合軌道法(NBO)を実装したプログラムの最新版で、原子間の結合性などを解析することが可能。後者は、静電ポテンシャルに由来する部分電荷を求める際の計算精度を高めることができる。
さて、同社では来年の設立20周年に合わせて、国内で初のユーザー会を開催することにしている。時期を秋に設定し、CONFLEXバージョン9の新製品発表を兼ねたイベントにすることを計画中だという。