医薬健栄研らの開発プロジェクトに明治薬科大学が加入
薬物動態・心毒性に加え肝毒性予測、商用化に弾み
2019.10.16−医薬基盤・健康・栄養研究所(医薬健栄研)と、理化学研究所、富士通九州システムズ(FJQS)は15日、共同開発中のインシリコ統合解析プラットフォームについて、この構築および商用化に明治薬科大学が加わることになり、あらためて4者で覚え書きを締結したと発表した。開発を進めてきた薬物動態と心毒性に関する予測機能に加え、肝毒性を予測する機能が新たに追加されることになる。2020年度初旬に、FJQSから製品版がリリースされる予定。
このプロジェクトは、日本医療研究開発機構(AMED)が2015年度から5カ年計画で実施している「創薬支援推進事業−創薬支援インフォマティクスシステム構築−」における研究成果を一部活用するもの。研究者がデザインした化合物の化学構造情報をソフトに入力することにより、その化合物の薬物動態、心毒性、肝毒性を予測することができる。創薬研究の初期における候補化合物のふるい分けや、構造最適化段階における分子設計に対して大きな効率化が期待できる。
医薬健栄研と理研が国内製薬企業7社の協力を得て、薬物動態と心毒性に関する予測機能を構築中。これに加え、明治薬科大学が持つ肝毒性予測モデルを組み込むことにした。FJQSは、構造活性相関(QSAR)解析のための統合ソフト「ADMEWORKS」のプログラム全体を刷新し、今回の新モデルに対応できるように再開発を進めている。最新のAI(人工知能)アルゴリズムも柔軟に利用できるようになるという。実際の商用版はADMEWORKSの後継製品に位置づけられるもようだ。
新システムは、学習データ作成機能、予測モデル構築機能、リデザイン機能などを搭載し、ユーザーフレンドリーなインターフェースによって、メディシナルケミストが自分でモデルを作成したり改良したりすることが可能。現在のADMEWORKSに搭載されている予測モデルが使用できることに加え、今回の共同研究のスキームで開発された薬物動態、心毒性、肝毒性モデルが提供されることが大きなメリットになるだろう。
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<関連リンク>:
富士通九州システムズ(ADMEWORKS製品情報ページ)
https://www.fujitsu.com/jp/group/kyushu/solutions/industry/lifescience/admeworks/