新型コロナ関係で国内CCSベンダーにアンケート

新規顧客開拓に多大な影響、テレワーク顧客対応に困難さも

 2020.04.29−新型コロナウイルス感染症が拡大し、政府が緊急事態宣言を発布している中、CCSnewsではCCSベンダー各社にアンケートを実施、25社から回答を得た。学会での展示やセミナー・ユーザー会などのイベントが開催できなくなった影響、顧客のテレワークへの対応やその影響、業績に及ぼす見通し、新型コロナ対策などについて聞いた。ベンダーによって決算時期に違いがあるものの、今年度はほぼ終わりつつあるタイミングだったため、3月期に区切れば影響は小さいが、顧客訪問や対面ができず営業活動が厳しく制限されているため、2020年度にかなり大きな影響が及ぶことが懸念されている。

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 アンケートではまず、春の学会の中止、セミナーやユーザー会などのイベントが開催できないことの影響について聞いた。

 各ベンダーのユーザー会は、5月から6月をコアにその前後に開催する例が多いが、5月までのイベントは今年についてはほとんどが中止の判断となっている。5月下旬から6月にかけてのものは、いまのところ開催可能な方向で準備が進んでいるようだ。ユーザー会シーズンとしては秋に開催するベンダーも少なくないが、そちらに影響が出ないようにコロナが収束することに期待したいという声が目立った。また、製品PRのためのセミナーや既存ユーザーへのトレーニングについては、すでにウェビナーなどのオンライン方式に切り替えているベンダーが12社、ウェブ移行を検討中と答えたベンダーが2社だった。

 こうした学会中止、イベント不開催の結果、今後問題が出てくるとみているベンダーは13社あった。その中の5社は、「会場での既存顧客との接触や新規顧客へのマーケティングの機会が喪失した」「宣伝やコミュニケーションの場がなくなった」「新製品や新ソリューションを訴求する機会を逸した」などとして、とくに新しい顧客の開拓に影響が出ることを懸念する声があがっている。

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 次に、緊急事態宣言によって顧客の多くがテレワークを実施していることの影響について聞いた。

 ベンダーもほとんどがテレワークでの業務となっているが、ウェブ会議などでの顧客とのやり取りに問題はないというのが11社、ウェブ上のコミュニケーションに不都合を感じることがあるという回答が10社あった。緊急事態宣言直後の早い段階では、顧客側に十分なテレワーク体制が整っていない場合もあり、外部とのウェブ会議が許可されないなどの問題を指摘するベンダーもあった。訪問ができないため納品に影響が出ているというベンダーが2社、対面でないと打ち合わせが進まない顧客があり、商談が遅延しているあるいは発注が保留になっているというベンダーが5社あった。このあたりは、ベンダーによって仕事の内容や進め方が異なっており、影響の受け止め方に差があるようだ。

 顧客サイドの状況としては、計算担当者はテレワークに移行できているが、実験には遅れが出ていると観測しているベンダーが多い。

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 3問目は、今回の新型コロナウイルス感染症の拡大がCCS事業の売り上げ等に及ぶ影響の見込みを聞いてみた。

 現時点でまだ収束の見通しが立っていないため、具体的な影響を予想することは困難だが、来期に向けての営業活動が制限され、新規開拓案件が非常に難しい状況になっていることを危惧する意見が圧倒的に多い。タイミング的に、今年度にはあまり影響はないが、来年度には少なからぬ影響が出ると考えられる。

 いくつかの意見を拾うと以下の通り。「東日本大震災の時よりも影響は大きいと考えており、3割、4割減もあり得る」「設備投資を削減する企業が出てきて、20%マイナスを見込んでいる」「MI等の投資を積極的に進めていた企業でも、今回の件でネットワークのインフラ強化等にIT予算をシフトする動きが出ると考えられる。想定は難しいが2〜3割ダウンもあり得る」「顧客の業績が落ち込めば受注数や規模は減少する。楽観的にみて3割減、下手をすると半減もあると考えている」「すべての製造業の業績が落ちているので、研究開発投資が減ることは間違いない。初めての事態であるため影響の規模を見通すことは困難」など。

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 最後の質問として、今回の新型コロナウイルス感染症拡大に対応した取り組みがあるかを聞いてみた。

 顧客のテレワークに対応し、自宅などからソフトを利用するため、ライセンス面の配慮を行っていると答えたところが5社、リモート環境で研究を進めるためのソリューション提供に力を入れていると回答したベンダーが3社という結果になった。また、対応ソリューションを開発しているところが2社、新型コロナ研究を自ら進めているところが1社となった。

 外資系あるいは海外製品を扱っているベンダーでは、新型コロナ研究を推進する大学・研究機関に対する支援策を実施しているところもある。これについては、4月15日付の記事(http://www.ccsnews.jp/ccs2/2020/2q/2020_2Qcoronaosvenderinitiative.htm)をご覧いただきたい。

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