米シミュレーションズプラスが仏Lixoftを買収

医薬品開発のモデリング基盤、コンサルティング事業を補完

 2020.05.07−米シミュレーションズプラス(SLP)は、4月1日付で仏Lixoftを買収した。薬物動態研究のためのPKPDモデリング&シミュレーション技術を持つベンダーで、SLPの既存製品ラインアップを補完し、とりわけコンサルティングサービスの範囲を拡大することが期待されている。完全子会社となり、Lixoftのブランドは維持される。買収費用は最大1,650万ドルと見積られており、SLPの2021年度売り上げに対して350万ドル以上の増収をもたらすという。

 SLPは、薬物動態の予測・解析ソフト事業を母体に、ここ数年で臨床データ解析や薬効評価のコンサルティングサービスを提供する米コグニジェン、薬物性肝障害(DILI)に関するメカニズム論的数学モデルを開発している米ディリシムを買収、医薬品開発の広範囲なプロセスを支援する企業グループとして発展してきている。買収した企業は連携しつつも独立した事業部のスタイルで運営されており、今回のLixoftも旧経営陣や社員はそのまま新体制に移行するようだ。

 Lixoftはフランスの国立デジタル科学技術研究所(INRIA)における大手製薬会社との7年間の共同プロジェクトを経て、2011年にパリで設立されたベンダーで、2019年の売り上げは約340万ドル、純利益が約170万ドル、社員数11人の企業だった。前臨床、臨床試験、安全性監視における集団分析のためのソリューション「Monolix Suite」を提供している。データ検索と視覚化のためのグラフィカルツール「Datxplore」、非コンパートメントおよびコンパートメント分析のための「PKanalix」、複雑な薬理測定モデルの調査と視覚化のための「MIxplore」、非線形混合効果モデルでのパラメーター推定、モデルの診断と評価、高度なグラフィック表示のためのツール「Monolix」、治験薬理測定シミュレーター「Simulx」の5つのソフトから構成され、医薬品開発のすべての段階でデータ共有を実現するプラットフォームとして働くように設計されている。すでに日本の製薬企業もいくつかユーザーになっている。

 単に製品を販売するだけでなく、実際のプロジェクトに当てはめるためのコンサルティングが重要になるようで、SLPとしてもコンサルティング事業への貢献を期待しているようだ。また、SLPにとっては初の欧州拠点となるため、欧州におけるグループの地位向上にも寄与するとみられている。

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<関連リンク>:

シミュレーションズプラス(トップページ)
https://www.simulations-plus.com/

Lixoft(トップページ)
http://lixoft.com/


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