2020年夏CCS特集:アフィニティサイエンス
量子化学コンサルを開始、励起状態解析からAI応用
2020.07.15−アフィニティサイエンスは、創薬研究および材料研究のための科学技術ソフトウエアの販売に加え、コンサルティングを含めたサービス事業を拡充している。今回新たに、量子化学計算を主体にユーザーの研究課題を具体的にサポートする「アフィニティ00・クオンタムケミストリー・コンサルティング」(AQコンサル)を提供開始した。
同社は、創薬分野では、ファーマコフォアに基づくインシリコスクリーニング統合ソフト「Ligand Scout」(オーストリアのインテ・リガンド)、多数の分子記述子計算やフィンガープリント計算を行う「alvaDesc」(伊アルバサイエンス)、生体高分子向けの汎用分子モデリングソフト「YASARA」(オーストリアのヤサラバイオサイエンス)、材料関係では密度汎関数法による固体電子構造計算プログラム「WIEN2k」(ウイーン工科大学)、先端的なアルゴリズムを採用した非経験的分子軌道法/密度汎関数法ソフト「Q-Chem」(米キューケム)、ナノ材料解析統合GUIソフト「Advance/NanoLabo」(アドバンスソフト)、汎用分子モデリングソフト「Spartan」(米ウェイブファクション)など多数のパッケージソフトを販売している。
このうち、Ligand Scoutは後述する創薬支援サービスの中でも活用されており、ユーザーの関心も高い。また、alvaDescは記述子計算ソフトとして人気だったDRAGONの実質的な後継製品で、ほとんどのユーザーが切り替えを済ませたという。最近、製品体系が広がり、記述子を利用して構造活性相関などのモデル式を作成したり、予測したりするための「alvaModel/alvaRunner」も製品化された。さらに、YASARAも低価格で手ごろなことからアカデミック市場で実績を伸ばしている。
同社では、これらのパッケージソフトの販売・サポート事業にとどまらず、受託研究などのサービス事業を強化している。すでに、インテージヘルスケアおよび理論創薬研究所と共同でインシリコ創薬支援サービス「ACISS」、AI創薬プラットフォームサービス「Deep-Quartet」などを提供している。
これらに加えて、今回新たにスタートさせた「AQコンサル」は、創薬系と材料系の両方を対象に、量子化学計算の活用をもっと促したいという発想で準備されたもの。量子力学は古典力学に比べて分子の励起状態を解析できることが強みで、AI/機械学習のための特徴抽出マシンとしても有効に利用できる。量子化学プログラムの使い方を教えるのではなく、具体的な研究課題に対して量子化学で何ができるのか、どのような計算をして、その結果をどう解釈するかなど、利用者と一体になって研究を進めていく。社内に計算担当者が少ない場合など、頼れる外部専門家として活用してほしいとしている。