2020年夏CCS特集:ブルカー

DXブームに乗って拡大、欧州にデータセンター開設

 2020.07.15−核磁気共鳴装置(NMR)大手のブルカーが、クラウドベースの研究インフォマティクスソリューションを提供する米アークスパンを買収・統合して1年が経過。事業体制が着実に強化され、製薬業向け研究情報管理システムのリプレース需要や、化学・材料企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)推進の波に乗って業績を拡大してきている。

 「Arxspan」は、電子実験ノート、化合物・生物情報登録管理、アッセイデータ管理、試薬管理などのアプリケーションをクラウド上で統合したシステム。研究情報をクラウドに預けることの抵抗感がなくなってきたため、既存システムからのデータ移行の実績があること、デバイスを問わず利用できるシンプルな操作、API(アプリケーションプログラミングインターフェース)を利用した外部システムとの接続・連携などの特徴が評価され、実績が伸びている。とくに、化学・材料系はレガシー資産の障壁がないため、研究開発におけるDX推進の観点から100ライセンス単位で導入するケースもめずらしくないという。

 さて、ブルカーとの統合前は、営業拠点は米国と日本、クラウドデータセンターは米国だけだったが、統合後は体制を拡充しており、今年になってフランスに新たな営業拠点とデータセンターを設けた。とくに、セキュリティへの投資を行っているほか、GMPの要件を満たすため、年内にISO9001の認証取得を目指している。将来的には、日本国内へのデータセンター設置も視野に検討中だという。

 ブルカーはまた、NMRスペクトル解析を自動化する「Mnova」を開発しているメストレラボ(スペイン)に出資しており、Mnovaを介してNMRデータをArxspanの電子ノートに取り込むインテグレーションを実現する予定。統合化により、デジタル化された新しいラボラトリープラットフォームの実現を目指していく。また、電子ノートのカスタムエクスペリエンス機能を利用し、実験単位でアッセイデータを管理・活用する機能も開発中だという。


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