2020年夏CCS:コンフレックス

結晶構造計算機能を強化、ソフトクリスタルで科研費

 2020.07.15−コンフレックスは、自社開発の配座空間探索ソフト「CONFLEX」に加え、米ガウシアンの非経験的分子軌道法ソフト「Gaussian」、米カリフォルニア大学で開発されている分子動力学法ソフト「Amber」、米パーキンエルマーの化学者向け統合ソフト「ChemOffice/ChemDraw」など、計算化学のための基本的なソリューションを取り揃え、受託解析サービスも含めてさまざまなニーズに対応している。

 とくに、CONFLEXは、化合物や結晶の正確な立体構造を作成できることから、GaussianやAmberによるシミュレーションの初期構造として利用できる利点がある。今年10月には、3年ぶりのメジャーバージョンアップが予定されている。次期バージョン9では、結晶構造最適化にNewton法を取り入れ、構造最適化の高速化と遷移状態構造の特定を可能にする。また、静電相互作用計算にEwald法を導入。これは、イオン性の共結晶等を計算する際の収束安定性に寄与するという。

 同社は文部科学省が指定する研究機関であり、科研費の補助を得て、ソフトクリスタルに関する研究を実施中。このプロジェクトは今年の中間評価でA評価を得ている。特定の刺激で結晶構造が容易に変化する物質「ソフトクリスタル」に関する学理をシミュレーションで探り、理論を構築しようという試みで、構造変換や相転移を起こすことを利用して、発光・光学材料などへの応用が期待されている。

 一方、海外製品では、Amber最新版が今年4月末から提供開始された。AMBER 20とAmberTools 20で、自由エネルギー計算を行うAmber TIのソフトコアポテンシャルの改良、GPU対応を含むシミュレーション高速化法の拡張などが実施された。GPUはコンシューマー用のグラフィックカードでもかなりの速度改善がみられるが、計算専用の最新カード(V100対応)を使えば、CPU1個に対して、最大で300〜400倍の性能が期待できるという。タンパク質用の力場も新しくなっており、核酸・タンパク質・生体膜に対応できる粗視化シミュレーション(SIRAHモデル)への適用も可能。

 そのほか、ガウシアン社が提供しているユーチューブチャンネルの翻訳を同社が担当しており、チュートリアルなど日本語の吹き替えや字幕入りの動画が公開されている。ホームページのクイックリンク欄からアクセスできる。動画は順次増やしていく予定だ。


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