NECソリューションイノベータがヘルスケア事業会社「フォーネスライフ」設立

健康状態や疾患リスクを評価、SomaLogicの血中タンパク質測定技術を利用

 2020.07.10−NECソリューションイノベータは9日、健康寿命の延伸に貢献することを目的に、ヘルスケア事業会社「フォーネスライフ」を全額出資で設立したと発表した。微量の血液からそこに含まれる5,000種類のタンパク質濃度を一度に測定できる技術を持つ米SomaLogic(本社・コロラド州、ロイ・スミスCEO)と協業し、10月からサービスを開始する。NECグループが有する人工知能(AI)、解析技術を組み合わせることで、現在および将来の健康状態や疾患リスクを示すことが可能。生活改善を実施した場合の望ましい結果をシミュレーションすることもでき、自発的な行動変容を促す役にも立てるという。人間ドックなど医療機関向けのサービスで2029年に300億円、民間との共創事業などを含めて1,000億円以上の事業規模に成長させる。

 技術的な基盤になるSomaLogicの高精度血中タンパク質測定技術「SOMAscan」は、数滴の血液成分で5,000種類の血中タンパク質濃度を一度に測定することができる。他の技術やプラットフォームでは検出が難しい微量なタンパク質も測定可能。現在までに20万人の血液を調べ、50以上の疾患リスクとの相関を解析してきた。ゲノムは設計図であり不変だが、プロテオームは生活習慣や健康状態、疾患の有無などによって刻々と変化するため、タンパク質を共通言語とすることで近い将来のリスクをあぶり出すことができるという。

 ここにNECの技術を加えることにより、データをデジタル化・見える化し、高度分析を行って、日本人向けの疾病予測アルゴリズムを確立。予防と健康を改善するための行動変容の指針もAIで提示できるようにしていく。

 フォーネスライフでは、今年10月から循環器疾患(心血管、脳血管系)の再発リスク診断、来年1月から同じく循環器系の初発について、4年以内に発症するリスクを示すサービスを開始する。一度の測定で「健康状態の推計」「対象疾患のリスク予測」「健康改善に向けた個別提案」ができることが特徴で、2021年度からは糖尿病と肝疾患、2022年度には認知症と肺疾患、腎疾患、2023年度以降は50以上の疾病を一気に扱えるようにしていく。国内の大学関係者らがアドバイザーとして加わり、共同研究・サービス開発を進める体制となっている。

 このほか、フィットネスや食品・美容、介護、ツーリズムなどの事業者との共創によるエコシステム構築も目指す。幅広いパートナーとの関係を探っていきたいとしている。

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<関連リンク>:

フォーネスライフ(トップページ)
https://foneslife.com/

NECソリューションイノベータ(ヘルスケア事業のトップ)
https://www.nec-solutioninnovators.co.jp/ss/healthcare/

米SomaLogic(トップページ)
https://somalogic.com/


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