2020年冬CCS特集:アフィニティサイエンス

半経験手法で大規模計算、分子動力学と機械学習を統合

 2020.12.02−アフィニティサイエンスは、計算化学を中心とするパッケージソフト販売から、専門的なノウハウに基づく受託研究サービスまで、創薬研究および材料研究をさまざまな角度から支援している。海外のユニークな製品の発掘にも継続的な努力を払っており、来年にかけて新製品を相次いで投入していく。

 今回新たに独CEPOSインシリコと代理店契約を結び、大規模並列計算に対応した半経験的分子軌道法ソフトウエア「EMPIRE」を販売開始する。数千コアまでの高効率の計算が可能で、非周期境界条件下で10万原子まで、周期境界条件下で5万原子までの計算が可能。欠陥やドーパントを含む広範な結晶系、非常に大きな繰り返し単位を持つアモルファス系、2次元電子デバイス、自己組織化した集合体などにも対応し、材料科学分野の研究に有効。また、生命科学分野でも、酸化還元活性を持つタンパク質の電子移動など、タンパク質全体の特性を調べるための計算エンジンとして利用できる。等電子密度面や局所特性に基づいて分子の重ね合わせを行う「CImatch」、分子表面を構築し局所的な特性と記述子を計算する「ParaSurf」などのオプションモジュールも用意されている。

 また、英アクセレーラのGPU対応分子動力学計算システムの製品体系が変わり、「ACEMDプラットフォーム」としてリニューアルされた。同時に、新製品として「Play Molecule」が提供開始される。これは、創薬向けに特化した分子動力学と機械学習アプリケーションをオールインワンで統合した製品で、計算化学者や薬化学者がウェブブラウザーからすぐに利用できる16種類のアプリケーションが揃っている。これもGPUが必須で、大規模な解析を短時間でこなすことができる。無償で利用可能なオンライン版が用意されているため、評価もしやすい。

 3つ目はバージョンアップで、伊アルバサイエンスの分子記述子計算ソフト「alvaDesc」のバージョン2がリリースされた。計算可能な記述子が5,666種類に増えたほか、使い勝手の良いスプレッドシート機能や高速なアルゴリズムの採用、部分電荷を計算できるPEOE機能など、多くの機能追加や改良が施されている。

 そのほか、同社が提供する受託サービスは、量子化学計算を主軸にした「AQコンサル」、インテージヘルスケアおよび理論創薬研究所と共同で実施している「ACISS」「DeepQuartet」があり、引き合いも順調だという。


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