2020年冬CCS特集:化学情報協会

化合物名称を正確に変換、機械翻訳でプロ仕様文書作成

 2020.12.02−化学情報協会(JAICI)は、外国語の特許や文献を読んだり作成したりするための翻訳サービスを拡充。プロ仕様の高品位な翻訳文書を仕上げるための「JAICI ProTranslator」を新たに製品化した。文章によって機械翻訳エンジンを自動的に使い分ける機能があり、翻訳支援(CAT)ツールと連携することが可能。独自の化合物表記翻訳機能も組み込んでおり、複雑な物質名も正確に訳すことができる。

 JAICIでは、海外の特許・文献・技術文書などの内容を日本語でスムーズに把握する目的で、2018年から機械翻訳サービス「JAICI AutoTrans」を提供している。サービス内容に一部重複するところはあるが、今回の「JAICI ProTranslator」は専門家の手によるような本格的な翻訳文書を得ることが目的となっている。

 このため、翻訳方向が充実しており、英日、韓日、中(簡体字)日、欧州言語(フランス語、ドイツ語、スペイン語、ポルトガル語、イタリア語、オランダ語、ポーランド語、ロシア語)との双方向(中国語繁体字は中日の一方向のみ)での翻訳に対応。図面を含む原文のレイアウトを保持したまま、数分から1時間程度で翻訳を行うことができる。しかも、特許用、文献用など複数の翻訳エンジン(自社用に学習させたカスタムエンジンを組み合わせることも可能)を用いて自動翻訳し、部分部分にスコアの高い翻訳結果を組み合わせて、全体を適切に翻訳してくれる。

 さらに、CATツールとして多く使用されている「Memsource」がバンドルされているため、原文レイアウトを確認しながら訳文テキストを人手で編集し、特許出願文書やテクニカルマニュアル等の最終文書を仕上げることができるようになっている。

 大きな特徴は、「AutoTrans」と同様に、JAICI独自の化合物表記翻訳機能を備えていること。とくに、機械翻訳は中国語の化合物表記を日本語訳することが苦手で、気づきにくい誤訳になることも多いという。内部で行ったベンチマークによると、他のサービスが中日で4〜6割の誤訳率になるところ、JAICI化合物表記翻訳は、数値や記号の抜け、翻訳崩れが少なく、圧倒的に有用性が高かった。

 具体的なサービスメニューとしては、原文(PDF、DOCX、PPTX)ファイルをアップロードすることで同一レイアウトの訳文を得る「DocSpread II翻訳」、特許番号を指定して原文と同一レイアウトの訳文を入手できる「PatSpread翻訳」、任意のテキスト(10万文字まで)を入力してオンデマンドで翻訳する「テキスト翻訳」、エクセルファイルに指定の和訳を挿入する「エクセル翻訳」などがある。また、オフィスドキュメントとPDFファイルとの相互変換、PDFを見開きPDFに変換するサービスも付属している。料金は、初期費用なしの年間契約で、月額1万8,000円(2ID)からとなっている。


ニュースファイルのトップに戻る