2020年冬CCS特集:パトコア
創薬デザインハブを提供、バイオ医薬品対応の情報管理
2020.12.02−パトコアは、ケムインフォマティクスで創薬の革新を支援。ハンガリーのケムアクソン社の技術を核にしながら、国産ベンダーとしての開発力も生かし、さまざまなソリューションを提供している。とくに、クラウド環境で新薬をデザインするためのコラボレーションプラットフォームや、創薬モダリティに対応したシステム開発に力を入れる。
今年9月、親会社のマネージメントサービスがいくつかの子会社を統合し社名を「Q'sfix」に変更、新たなグループ名「CAB'S」(カブクス)を採用した。パトコアは、新生CAB'Sグループの一翼を担う立場で、ブランドイメージのさらなる向上を目指していく。
とくに、コロナ禍で顧客の研究開発のデジタル化が加速していることに対応し、ケムアクソンの新製品「DesignHub」の提案活動を強化する考え。これは、昨年のユーザー会などで「MarvinLive」として紹介されていたシステムで、創薬のハブとなるデザイン機能を充実させて正式に製品化された。仮説をまとめて、それに基づいて化合物を設計し、合成すべき候補を選定し、実際に実験して評価し、その結果を次の仮説に反映させる−という一連のループをクラウド上で実行できるように考慮されている。さまざまなソフトやツールをプラグインすることができ、外部データベースや試薬カタログの利用、各種の物性計算ツールや予測モデルとの接続、法規制チェックなどを行いながら研究プロセスを回していくことが可能。メディシナルケミストが利用したい機能が1つに集まっているため、顧客からの反応もいいということだ。欧米では、べーリンガーインゲルハイムが導入を決めている。
また、自社製品では、創薬モダリティに対応したバイオ医薬品対応登録システム「PatRegi|Bio」が注目される。ケムアクソンのバイオモレキュラーツールキットを利用して開発したもので、抗体、ペプチド、抗体薬物複合体(ADC)などのコンジュゲートの登録をサポート。HELMネイティブのプラットフォームで、モノマー管理機能を搭載しているため、複雑なバイオ医薬品の配列・化学構造、関連する属性データ、系統の登録管理がしやすい。外部システムとのインテグレーションも柔軟に行える。
そのほかでは、ケムアクソンの新製品である「cHemTS」は、構造式から化学物質の輸出入に必要なHSコードを生成する機能を持っている。EUに加え米国のHSコードに対応しており、今後は日本のものにも対応する予定。自由貿易協定と原産地証明書の関係でこのコードが注目されており、適切に運用することへのニーズが高まっている。ただ、コードを調べる作業がたいへんだという。今回のシステムはAPI(アプリケーションプログラミングインターフェース)を備えているため、社内の輸出入システムとの連携も容易で、大幅な業務改善を達成できる。