コロナ禍でCCSベンダー各社に2回目のアンケート
需要堅調で売り上げへの影響小、新規顧客開拓で課題も
2020.12.24−CCSnewsでは、4月に続いてCCSベンダー各社にアンケートを実施。コロナ禍における事業の状況を聞いた。25社から回答が得られたが、懸念されていた売り上げへの影響は小さいことが分かった。政府の緊急事態宣言で経済がストップした時期の影響がいくらか残るベンダーもあるが、研究開発のデジタル化や人工知能(AI)/機械学習の導入、いわゆるデジタルトランスフォーメーション(DX)によって、CCS市場自体が拡大していることをうかがわせる結果になった。リモートでの活動もすっかり定着しつつあるが、新規顧客開拓については取り組みが十分にできていないベンダーが多く、来年度以降にじわじわと影響を引きずる可能性もありそうだ。
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CCSベンダーにとっては、学会や研究会などの付設展示会への参加やセミナー実施が重要なプロモーション活動になっている。春のイベントはほとんど中止になったが、この秋以降はオンライン形式での開催が目立つ。アンケートではまず、こうしたイベントに参加した感想を聞いてみた。その結果、参加自体を見送っているベンダーを含めて否定的な意見が40%、肯定的な意見が15%、肯定しつつ課題もあるという意見が45%だった。
多数派の声としては、移動の制約がなく集まりやすい、参加人数が多かったなどのメリットがあげられたが、「ふらっと立ち寄るような方を引き込むのが難しい」「参加者の顔がみえず、反応がわからないので、どのレベルで話をするか設定しにくい」「体験してもらわないと良さが伝わらない製品がある」「リアルの方が来場者の質が高いと感じた」「プロモーションの効果が可視化されにくい」などの課題が指摘された。また、学会・展示会によっては来場者の情報が非公開の場合もあり、それには不満が多かった。
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第2問は、デジタルマーケティングへの取り組みについて。各社が開催するセミナーやユーザー会はすべてリモートになったが、既存ユーザーへのサポート、新規顧客獲得に十分な有効性を発揮しているかを聞いた。答えは、有効性があるが43%、厳しいが9%、中間的な回答が48%という結果だった。
有効だとする声では、集客力が高まったことをあげる意見が大半。物理的な制約がなく開催頻度が上がったことも利点だとされている。ウェブサイトやメール配信を工夫して成果を出しているベンダーもある。有効だとするベンダーは、製品のトレーニングもリモートでできていると答えたところが多い。また、ユーザー会については、外資系で本国のユーザー会に日本の顧客が参加してくれたというところがあるほか、複数日にわたって短時間のセッションを提供する方式が好評だったとするところもあった。
一方、中間的な回答の中では、「最初の紹介レベルの話はよいが、営業活動のそれ以降の場面ではリモートだけでは難しい。どういう地位・立場の人が参加しているのか、顧客同士の会話や雰囲気が伝わらないというところもあり、成功にはつながりにくいと感じることがある」「参加しているお客さまの情報や表情が得にくいため、間合いの感覚をつくり直すところが十分にできていない」「既存ユーザーのサポートやコミュニケーションには問題がないが、新規の顧客に情報が届かない」「セミナーの集客は良いが、新規顧客開拓という視点ではあまり効果がない」などの意見が多く出ている。
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3問目は、直接の顧客訪問がしにくい状況が続く中での問題などを聞いた。4月に取ったアンケートでは、対面ができないために商談や発注の遅延、納品ができないなどの意見があったが、今回は問題なしが80%を占めた。緊急事態宣言の解除後は納品の問題はほぼなくなり、訪問できる状況も増えてきているようだ。顧客側もオンラインミーティングに慣れて、違和感なく実施できているという意見が大半だった。ただ、「新規案件の提案から具体的な商談に進めるのは、オンラインだけではハードルが高い」「プロジェクト、プリセールスの成功につなげるには、やはりオンサイトの方が有効だと感じる」「リモートで離れているぶん、本音でぶつかるシーンが増え、調整に時間がかかるものが出てきている」「ソフトの使い方などのトレーニングは対面でないと難しい」との声もあった。
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4問目は売り上げへの影響。前回のアンケートでは、2〜3割、3〜4割のダウン、最悪半減も覚悟しているなどの声も出ていた。今回、現在の状況を聞くと、売り上げへの影響なしが70%、ありが20%という結果になった。政府の緊急事態宣言下で経済活動が急激にダウンした数カ月間の影響を受けたことは事実だと思われるが、「昨年度に立てた予算計画で動いている顧客が多いため、いまのところ影響はない」「テレワーク関連のソリューションでむしろ売り上げは増加」「オンライン会議・リモート作業で効率良くプリセールスができ、影響はまったく感じない」「公的機関は予算の縮小を感じない。今年はむしろ堅調」「コロナの影響がないとはいえないが、実際の売り上げは予算を上回る好調さ」「緊急事態宣言解除後は通常に戻り、1年を通すと前年並みになりそう」と順調なベンダーが目立つ。一方で、影響があると答えた中では、「想定していたワーストケースほどではないが、現状で昨年よりも業績は悪い」「いまは回復傾向だが、第2四半期はキャンセルが相次いだ」「厳しい状況は続いていると感じている」「1割くらいのダウンがある」との声も。
また、「これ以上活動が制限されると、来年以降に影響が出るかもしれない」「顧客側での予算執行が遅れたり、予算自体が減ったりする可能性がある」「年間契約の事業が多いため、影響が出るのは来年度からと考えている」「年明け以降、来年度の動向には注意が必要」など、今後が楽観できないことは共通認識になっているといえそうだ。とくに、ベンダーによって多少の差はあるにしろ、新規顧客の開拓が十分にできていないことが大きな問題になってくる可能性がある。
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最後の第5問は、ウィズコロナ、アフターコロナ、ニューノーマル等を意識した製品・サービスの開発や販売で、何か取り組みがあるかを聞いた。回答としては、クラウドを利用した研究コラボレーションなど、コロナ禍での仕事の仕方を何らかのかたちでサポートできる製品を具体的に提供しているベンダーが10社、リモート環境でソフトが利用できるように特別なライセンスを用意していると答えたベンダーが2社、ウェビナーやメール配信などの有効性を高めるための工夫、情報発信に力を入れていると答えたベンダーが6社あった。
前回のアンケートと比べると、リモートでの働き方に対応できるソリューションを提供するベンダーがかなり増えている。コロナ禍を契機に、研究開発のデジタル化、デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する流れが、顧客サイドにおいても加速していることをうかがわせる。
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