2021年夏CCS特集:コンフレックス

結晶構造探索機能を強化、金属錯体で研究機関の活動も

 2021.06.29−コンフレックスは、設立20周年を超えた計算化学の専門ベンダー。自社開発の「CONFLEX」に加え、非経験的分子軌道法ソフト「Gaussian」(米ガウシアン)、分子動力学法ソフト「Amber」(米カリフォルニア大学)、化学者向け統合ソフト「ChemOffice/ChemDraw」(米パーキンエルマー)などを連携させて提供している。

 今年5月には、最新版の「CONFLEX 9」がリリースされたばかり。これは、化合物の配座探索・結晶構造探索を行うソフトで、海外でも知名度が高い。今回のメインは結晶関係の機能強化であり、結晶構造最適化に完全対角Newton-Raphson法が利用できるようになり、結晶構造探索にかかる時間を大幅に削減。静電相互作用計算にはEwald法を取り入れ、遠距離まで働く静電相互作用を高速・高精度に計算できるようにした。また、構造最適化や配座探索にAMBER力場を用いた計算が可能。今後、生体分子に対応した機能を増やしていくための布石ともなっている。

 さらに、新機能として追加された「CONFLEXスプレッドシート」は、CONFLEXやGaussianの出力ファイルに含まれている計算結果の各種情報を一覧表にまとめる機能で、大量の計算結果を簡単に確認したり編集したりすることができる。エクセル形式での出力も可能なため、グラフ作成などの解析も容易。

 一方、他社製品では、4月に「Amber Tools 21」が登場している。新しく反応分子動力学用のReaxFF力場が提供されたほか、分子動力学シミュレーションに基づく各種解析機能が大幅に追加されている。

 同社は、2018年に文部科学省から研究機関の指定を受けており、有機金属錯体の結晶シミュレーションなどで独自の研究活動も展開中。新学術領域研究「ソフトクリスタル」において「金属錯体の結晶ポテンシャルの開発と多形転移現象のメカニズム解析」の研究グループに参加しているほか、科学研究費助成事業(科研費)で「有機金属錯体の結晶構造と動的挙動を解析するための汎用力場の開発」を実施している。また、英ケンブリッジ結晶学データセンター(CCDC)が主催する結晶構造探索コンテストが開催されており、2016年の前回に続いて今回もエントリーしたという。


ニュースファイルのトップに戻る