2021年夏CCS特集:伊藤忠テクノソリューションズ

DX支援で二面作戦展開、全社データ統合基盤を構築へ

 2021.06.29−伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)は、ライフサイエンス関連企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)をターゲットに、グループの総合力で最適なソリューションを提供。先進の情報技術やクラウドサービスを組み合わせて、顧客課題の解決を図っていく。

 昨年度も電子実験ノート(ELN)が引き続き好調な伸びを記録し、事業規模を押し上げたという。顧客企業がDXに取り組む前に、さまざまな情報をデジタル化することが必要であり、その基盤としてELNが注目された。同社はダッソー・システムズやIDBSなど複数のベンダーのELNを扱っているが、製薬業だけでなく、物質・材料を対象とする研究開発を行う企業はすべてELN導入の対象になってきている。

 そこで今年度の戦略としては、研究所を対象としたDXへの取り組みと、全社レベルでのDX推進をサポートするという両面作戦で積極的な事業展開を図る。まず、研究所向けでは、すでにELNでデータ基盤が整備されているため、蓄積したデータ活用を促すフェーズに力を入れる。とくに、データインフォマティシャンとしての特別な知識を持たない一般研究者でも活用できる“データ分析の民主化”を実現する考え。具体的には、インフォマティカのETL(データの抽出・変換・書き出し)ツール、アマゾンウェブサービス(AWS)のデータレイク、SNOWFLAKEのデータウェアハウス(DWH)、さらにGitHubのツールなどを組み合わせてデータ統合基盤を構築する。合わせて、研究所内の分析機器/科学機器からデータを直接収集するシステムも提供していく。

 一方、全社レベルのDXでは、エンタープライズコンテンツ管理の「Box」を中心としたエコシステムを推進する。容量無制限のクラウドストレージで、7段階のセキュリティ設定、120種以上のファイルタイプに対応したプレビューなどの機能があり、企業が扱うあらゆる情報を格納し活用することが可能。Box内の文書のライフサイクル管理システムを自社開発中であるほか、API(アプリケーションプログラミングインターフェース)連携を利用し、社内外の各種システムとの連携も図っていく。また、Sinequaコグニティブ検索・アナリティクスプラットフォームと組み合わせることで、人工知能(AI)活用も可能。高度な自然言語処理(NLP)と機械学習アルゴリズムを使用して、大量の文書から知識を取り出すことができる。

 同社としても、AIにはさまざまな取り組みを行っており、多くの引き合いや相談が寄せられている。DataRobotなどいろいろな製品も扱っているが、Pythonでスクラッチ開発する技術も持っている。


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