2021年夏CCS特集:分子機能研究所

コロナ治療薬探索で注目、SBDD技術コアに受託研究

 2021.06.29−分子機能研究所は、ストラクチャーベースドラッグデザイン(SBDD)に基づくインシリコ創薬をコア技術に、モデリングソフトの開発・販売や受託研究サービスを実施。昨年発表した新型コロナウイルス感染症治療薬候補化合物をインシリコスクリーニングした論文が注目され、その反響もあって、今年は受託案件が順調に舞い込んでいるという。

 同社は、米ハイパーキューブの統合分子モデリングソフト「HyperChem」をベースにインシリコ創薬を行う「Homology Modeling for HyperChem」(HMHC)、「Docking Study with HyperChem」(DSHC)を製品化している。これを利用して、受託計算・受託研究や、独自の研究活動を行ってきている。

 昨年5月に、欧州バイオインフォマティクス研究所(ChEMBL)の生物活性化合物データベースから新型コロナウイルスのメインプロテアーゼ(Mpro)と強く結合する化合物のスクリーニングを実施した論文がFEBS OpenBio誌に掲載された。高速な「rDock」と精度の高い「AutoDock Vina」を組み合わせてドッキングシミュレーションしたもので、最終的に有望な29化合物を絞り込んだ。この論文は同誌のアワード対象論文に選定されたほか、10月には日本レチノイド研究会で口頭発表を行い、奨励賞を受賞している。

 こうした成果を背景に、新型コロナ関連の受託研究を複数実施中。また、材料系を対象にした計算の依頼もあるほか、スポットではなく1年あるいは複数年におよぶ包括契約の仕事も増えてきているという。こうしたケースでは、SBDD技術の研修を実施するなど、社内にノウハウを蓄積したいというニーズにも応えているということだ。

 通常のSBDDでは、タンパク質と低分子のドッキングを行うことが多いが、今後は創薬モダリティに対応した巨大分子同士のモデリング&シミュレーション技術を強化する方向にも力を注いでいく。


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