2021年夏CCS特集:モルシス

中国企業向けに実績拡大、材料系で多彩な計算手法提供

 2021.06.29−モルシスは、CCS関連の専門ベンダーとして多彩な製品群を提供。生命科学と材料科学の両分野で、モデリング&シミュレーションからインフォマティクスまで、研究開発支援ソリューションに関するあらゆる要望に応える体制を敷いている。

 生命科学の創薬支援分野の主力製品が加ケミカルコンピューティンググループ(CCG)の「MOE」。とくに最近伸びているのが中国市場で、以前は欧米の製薬会社の研究所や現地の大学・研究機関からの引き合いが主だったが、このところ現地企業への導入が急増している。新規顧客の1割は中国市場だという。9月には恒例のユーザー会議「MOEフォーラム」をリモートで開催する予定だが、今回は日英中の3カ国語の同時通訳を入れる準備を進めている。これにより、中国のユーザーが中国語で発表するセッションも実現するということで、関心が寄せられている。

 国内の製薬産業向けには電子ノートもいくつか取り扱っているが、MOEを使って創薬モダリティに対応したモデリングをあらためて強化したいというニーズが高まっているという。それに関連して、姉妹品のタンパク質立体構造データベース「PSILO」の実績が拡大中。クライオ電子顕微鏡の活用などでタンパク質の構造解析が急速に進んでおり、PDBへの登録件数も17万8,000件超に増えている。これほどのデータを管理して活用するためには、PSILOのようなシステムが必須となってきているようだ。

 一方、材料科学関係では、米イーオンテクノロジーの高精度分子シミュレーション支援ソフト「ダイレクトフォースフィールド」(DFF)の開発者によるセミナーをリモートで実施した。DFFは、「力場パラメーターが足りなくて計算できない」「化学的に誤った構造を結果として与える」などの悩みに応え、量子化学計算をもとに精度の高い力場を作成する機能を持っている。最新版は、目的分子のパラメーター作成に必要な手順を自動化。具体的には、目的分子に対する適切なフラグメント化、量子化学計算によるフラグメントのエネルギー曲面のサンプリング、サンプリングデータを用いたパラメーターフィッティング、MD計算によるパラメーターの検証をワークフローで自動化している。

 また、蘭SCMの計算化学統合パッケージ「AMS」(アムステルダムモデリングスイート)は、分子系密度汎関数法「ADF」、周期系密度汎関数法「ADF&BAND」、タイトバインディング法「DFTB」、反応分子動力学「ReaxFF」、熱力学物性計算「COSMO-RS」に加え、QM/MMハイブリッド計算や機械学習ポテンシャルを用いた計算も可能。新たに反応経路探索を自動化する機能も開発されており、これは次期バージョンの「AMS 2021」でリリースされるという。


ニュースファイルのトップに戻る