2021年夏CCS特集:SRIインターナショナル

AIと自動化技術を融合、化合物プロセス開発を高速化

 2021.06.29−SRIインターナショナルは、人工知能(AI)を組み込んだ医薬品研究開発のための自動化プラットフォーム「SynFini」を実用化し、日本市場に向けて提供を開始している。目的化合物の分子構造に対し、AIが最適な合成経路を予測し、反応条件などのプロセスを検証、実際に化合物を生産するまでの高度な自動化を実現する。通常は3〜5年かかる創薬研究を6カ月に短縮することを狙っている。

 SRIインターナショナル(旧Stanford Research Institute)は75年の歴史を持つ米国の非営利研究機関で、産業界とのパートナーシップなどを通し数々のイノベーションを生み出してきている。数カ月の小さなプロジェクトから数年にわたる共同研究まで、顧客ニーズに対応した調整が可能で、日本企業とも豊富な協業の経験を有している。

 なかでも、SRIのバイオサイエンス部門は、創薬や診断薬にかかわる生物医学の基礎研究、前臨床や臨床開発などを行い、これまでに100以上の薬を臨床試験段階に進めることに成功しているという。

 SynFiniは、開発に4年をかけたシステムで、当面のターゲットは低分子薬のプロセス開発を高速化すること。「どうつくるか」ではなく「何をつくるか」という創造的な仕事に化学者を集中させることがコンセプトだ。全体が3つのコンポーネントから構成されるが、まず「SynRoute」は目的化合物の合成経路をAIで予測し、コストや合成可能性、実装の容易さなどを考慮しつつ、10秒ほどで10〜50の戦略を提示する。次に、「SynJet」を使って予測された経路の実証試験を行い、スクリーニングによって最適なプロセスを選び出す。インクジェット技術を利用して、1時間で1,000反応を評価できるハイスループットシステムだ。最後に、「AutoSyn」を用いてスケールアップし、グラムからキログラムスケールで化合物を生産する。フローケミストリー技術を用いたマルチステップ合成機であり、3,000以上の異なる多段階反応構成に対応でき、品目の切り替えも2時間以内に可能という。

 SynJetやAutoSynで得られたデータは、再度機械学習にかけて、SynRouteのAIを鍛えていくことになる。AIと自動化技術を組み合わせることで、研究プロセス全体が高速化されるとともに、AIの能力も継続的に上昇していくことが大きなメリットだろう。新規がん治療薬の開発や、新型コロナウイルス感染症治療薬の開発にも使用されている。システムのつくりとしては、低分子薬だけでなく、ポリマーや触媒などの材料系の開発にも応用可能だと考えられる。


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