Appierが業績・戦略説明会、DX/AI革命で事業拡大

3月末に東証マザーズ上場、通期売り上げ117億円超へ

 2021.08.26−Appier Groupは25日、チハン・ユー代表取締役兼CEOと橘浩二ファイナンス担当SVPによる記者説明会を開催し、最近の事業成績や今後の戦略などについて会見した。同社は人工知能(AI)をデジタルマーケティングに利用するための専門的な技術を持つ台湾の企業で、今年3月末に東京証券取引所マザーズに上場している。コロナ禍で、消費者は多くの活動をオンラインで行うようになってきており、デジタルトランスフォーメーション(DX)ブームやAI革命の流れに乗って企業のデジタル化投資も拡大。同社の業績も急成長を遂げている。

 同社は、2012年に設立され、本社を台湾に置いている。昨年から欧米でも本格的に事業を開始しており、世界に17のオフィスを構え、従業員数は500人。900以上の顧客に対する実績がある。日本法人は台湾に次ぐ規模の拠点で、2014年に東京、2017年に大阪にオフィスを開設した。

 主にB2C企業に対してSaaS型のサービスを提供するのが同社のビジネスモデルで、とくに消費者のオンライン上での振る舞いを予測するAI技術を強みとしている。どこに良い顧客がいるのかを探る「CrossX」、顧客との関係性を強化する「AIQUA」(アイコア)、実際の購買行動を促す「AIDEAL」、次の購入につながる行動を予測する「AIXON」(アイソン)といった製品を提供している。

 さて、今年の第2四半期(4〜6月期)の売り上げ(グローバル)は、前年同期比50%増の28億円となり、過去最高を記録。売上総利益は前年同期比で77%増と大幅な増益となっており、通期の売り上げ予想を109億4,300万円から116億6,100万円へ上方修正した。売上総利益率は前年同期の42%から50%に上昇し、EBITDA(利息、税金、償却費控除前利益)マージンは前年同期の-25%から24ポイント改善し、-1%となった。これは、既存顧客および新規顧客の増加による収益拡大が寄与しており、過去12ヵ月間の顧客の売上継続率は過去最高の120.2%まで上昇したという。この四半期に新規顧客数も66社増えている。

 地域別の売上比率は、日本と韓国の北東アジア地域が67%、台湾・香港を含むグレーターチャイナ地域(中華圏)が21%、東南アジア地域が10%、その他2%となっている。同社では、AIを利用したデジタルマーケティング市場は2022年にグローバルで675億ドルに拡大するとみており、今後は欧米の売り上げも急速に拡大すると期待できそうだ。

 今後は、より効率的な機械学習/深層学習技術の開発などのテクノロジーの強化、隣接領域への展開などのソリューションの拡大、他業種・他地域への進出などの顧客基盤の拡充−の3つの方向で成長戦略を描いていくとしている。

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