2021年冬CCS特集:アフィニティサイエンス

計算科学の利活用を支援、機械学習用サービスも提供

 2021.12.01−アフィニティサイエンスは、計算科学にフォーカスし、計算で得られたデータを解析して特性や作用機序を系統的に研究することを通じて、薬物や材料の設計に適用するためのソフトウエアやサービスを提供している。

 同社は、オーストリアのインテ・リガンドが開発しているファーマコフォアベースのインシリコスクリーニングソフト「Ligand Scout」、ヤサラ・バイオサイエンスの分子モデリングソフト「YASARA」、伊アルバサイエンスの分子記述子計算ソフト「alvaDesc」のほか、ウィーン工科大学が提供している固体電子構造計算プログラム「WIEN2k」、米キューケムの分子軌道法/密度汎関数法ソフト「Q-Chem」、独セポスインシリコの半経験的分子軌道法ソフト「EMPIER」、英アクセレーラの分子動力学シミュレーションパッケージ「ACEMDプラットフォーム」など多くのソフトを販売。

 このうち、アルバサイエンス製品は、分子記述子を使って予測モデルを作成するためのスイート戦略を打ち出してきており、遺伝的アルゴリズムによって de novo 分子設計を行う「alvaBuilder」、分子データセットの可視化・分析を行う「alvaMolecule」、分子記述子とフィンガープリント計算を実行する「alvaDesc」、分子構造と活性や物性との相関解析をする「alvaModel」、モデルを使った予測を行う「alvaRunner」が揃っている。モデル構築機能は年内にも機能強化される予定で、5つの回帰モデルと6つの分類モデルが利用可能。シンプルで、実験研究者にも使いやすいことが特徴だ。

 また、ウェブブラウザー上で深層学習と遺伝的アルゴリズムによる最適化を行うことができるAI解析プラットフォームを提供している「Multi-Sigma」の取り扱いも開始する。これは、エイゾス(本社・つくば市)が提供しているクラウドサービスで、目的変数が複数の場合に同時最適化ができることから、分子設計/材料設計分野での活用が期待される。

 もう1つ、新製品として扱うのが伊コデの「VEGAツールキット」。欧州のREACH、食品、化粧品の規制やガイドラインの枠組みの中で化学物質の評価に使用されているプログラムで、毒性、環境毒性、各種の物理化学的性質などをQSARモデルで解析することができる。VEGA自体はオープンソースソフトで無償で使用できるが、ツールキットは製品版であり、大規模な化合物セットを用いた解析に対応している。

 そのほか、同社は計算科学を広く浸透させる目的で、今年夏にバーチャルユーチューバーのアイちゃんとハル先輩による「計算科学チャンネル」を開設した。現在、3つの動画を公開しているが、これも順次増やしていく計画だ。


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