2021年冬CCS特集:TSテクノロジー

高難度の受託研究が増加、計算結果の解析ツール好調

 2021.12.01−TSテクノロジーは、山口大学発の先端的な化学技術と情報技術を駆使し、創薬分子設計や材料研究のための製品やサービスを提供している。計算化学を実際の研究に役立てるための研究受託で実績が豊富で、とくに一定期間の専従体制でサポートする「FTE契約」(包括的業務提携契約)が堅調に推移している。

 同社は、決まったメニューの計算をネット経由で受注し、迅速に結果を返す「クイックオーダー」から、テーマに即してきめ細かく対応する受託研究型の「フルオーダー」、専従体制で包括的に研究協力する「FTE契約」まで、ニーズに応じた幅広い受託サービスを用意している。これまでに手掛けたテーマはさまざまだが、最近の傾向として、マテリアルズ・インフォマティクス(MI)などのデータサイエンスの活用に取り組みたいとき、データ不足の問題に直面し、分子動力学(MD)計算結果を教師データに使って機械学習を行いたいというニーズが増えている。以前は社内にあるデータをかき集めて学習したいという話が多かったが、ユーザー側の認識も徐々に変わってきているということだ。

 また、分子シミュレーションについては、高度な解析へのニーズが増加し、第一原理計算を絡めた依頼が目立つようになってきた。フォノン振動からフォノン散乱や輸送係数を求めるなど、古典的なMD計算では対応できないようなテーマが増え、第一原理計算ソフトであるQuantumESPRESSOなどの活用が進んできている。

 一方、自社開発のパッケージソフトでは、量子化学などの計算結果からエネルギーダイアグラムを描画するための「Easy Diagram」の販売が好調。エクセルに組み込んで利用するアドオンプログラムで、計算出力ファイルからエネルギー値を抜き出し、簡単にインポートすることが可能。単位変換もスムーズで、計算結果の解析には必須のツールだ。もともと社内利用のために開発したものだが、計算化学人口の増加を背景に、問い合わせが増えているのではないかとしている。

 そのほか、同社では科学技術計算専用に組み立てた並列コンピューター「NGXシリーズ」も販売中。今後、ウェブサイトで簡単に見積もりができる機能などを追加し、さらなる販売拡大を狙う考えである。


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