2022年夏CCS特集:コンフレックス

結晶表面解析機能を追加、ソフトクリスタル研究で成果

 2022.06.28−コンフレックスは、自社開発の配座探索・結晶構造探索ソフト「CONFLEX」に加え、米ガウシアンの分子軌道法ソフト「Gaussian」、米カリフォルニア大学の分子動力学ソフト「Amber」、米パーキンエルマーの化学者向け統合ソフト「ChemDraw/ChemOffice」など、計算化学の代表的製品を取り揃えている。ソフト販売だけでなく、文部科学省から研究機関としての指定を受けており、研究活動でも実績を築いている。

 主力の「CONFLEX 9」は、最新のリビジョンBがこのほどリリースされたばかり。基本的な機能は、フレキシブルな分子の配座空間をもれなく探索し、最安定構造を特定すること、また分子性結晶に関して、分子構造データと空間群の対称性をもとに、エネルギー極小に位置する結晶構造を網羅的に算出することが可能。今回の最新版では、結晶表面解析機能を追加し、指定した結晶面の比表面エネルギーが計算できるようになった。結晶は複数の結晶面を持つ多面体だが、それぞれの比表面エネルギーを解析することにより、結晶の外形や成長性などの研究に利用することができる。

 また、新機能として導入されたDDD法(distance dependent dielectric constant)は、静電相互作用項に含まれる比誘電率が原子間距離に比例する計算手法で、定数で計算する従来法と比べて溶媒による寄与をより精度良く記述することができるという。CONFLEXのGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)も、これらの新機能に対応したものとなっている。

 同社は、CONFLEXの機能を活用するかたちで、文科省の新学術領域研究「ソフトクリスタル」における「金属錯体の結晶ポテンシャルの開発と多形転移現象のメカニズム解析」の研究グループに参加。その成果を発表した論文「Computational Studies for Crystal Structures of Helicate Lanthanide Complex Based on X-rey Analyses」が日本化学会のBCSJ賞(BCSJ誌に毎月掲載される論文の中から最も優れた論文(年間12編)に与えられる)を昨年受賞した。このほか、科学研究費助成事業(科研費)で「有機金属錯体の結晶構造と動的挙動を解析するための汎用力場の開発」を継続している。

 一方、Amberは、今年4月に最新版のAmber 22およびAmberTools 22がリリースされている。ソフトコアポテンシャルを用いたアルケミカル自由エネルギー計算の拡張、REST2的レプリカ交換サンプリングの強化などに加え、力場パラメーターの新規追加と更新も行われた。分子動力学計算のトラジェクトリーデータを解析するためのメインプログラムであるcpptrajも細かな改良が図られているという。

 Gaussian16はここ数年バージョンアップされていないが、インテル系からArm系に変更されたMacの新しいCPUへの対応、NVIDIAの新型GPUへの対応などの開発が進められているようだ。


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