2022年夏CCS特集:ヒューリンクス
全原子での材料特性解析、自動学習で候補化合物を提案
2022.06.28−アルゴグラフィックスグループのヒューリンクスは、数学や化学、工学をはじめ、幅広い科学技術計算分野にフォーカス。海外のソフトを中心にさまざまな製品を国内市場に紹介している。
CCS関連では、定番である米パーキンエルマーの化学・生物学者向けサイエンスツール「ChemOffice/ChemDraw」、米ガウシアンの汎用量子化学計算プログラム「Gaussian」をはじめ、各種ソフトを取り揃えているが、今年から新たな大型商品の取り扱いを開始した。これは、カナダに本社を置くナノアカデミック社が開発した半導体や電池材料開発に役立つシミュレーションソフト。開発元は、地元のマギル大学(McGill University)の研究者らが2008年に設立したベンダーで、「RESCU」「NanoDCAL」などの製品がある。
とくに、上位製品の「RESCU+」は、分子動力学(MD)とイオンダイナミクスに着目した密度汎関数理論(DFT)を用いることにより、デバイス材料の全原子シミュレーションを可能にしている。機械学習を用いた方法によって、超高速な第一原理分子動力学/機械学習分子動力学計算を行うこともできる、10万原子を超える超大規模DFT計算を実行するため、ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)環境に適している。同社では、第一原理計算/量子化学計算に関する技術力をこの製品を通してアピールしていく考え。Gaussianを長年取り扱ってノウハウがあることも強みになりそうだ。
一方、創薬支援ソフトでは、英オプティブリアムの「StarDrop」最新バージョン7.2が4月にリリースされた。ユニークな新機能がInspyraモジュールで、ユーザーがソフトウエアをどのように使用しているかを学習し、バックグラウンドで最も関連性の高いケミカルスペースを探索し、化学構造生成機能を働かせて、候補化合物を自動的にリコメンドしてくれる。探索したいプロパティと化学的多様性に関する利用者の好みを学習するかたちとなるので、的確な候補物質が出てくる可能性が高い。データベースから検索するのではなく構造を生成しているという意味で、試してみたいという声が増えている。