日本IBMが新型メインフレーム「z16」
AI/耐量子暗号を組み込み、日本向け共創センターも開設
2022.04.07−日本IBMは6日、メインフレームの最新機種「IBM z16」を5月31日から出荷開始すると発表した。ハイブリッドクラウドにおける中核になるシステムとして設計されており、人工知能(AI)推論のリアルタイム化、耐量子暗号の搭載などのセキュリティ強化といった特徴を持っている。また、顧客が抱える経営課題の解決を支援する「IBM Z and Cloudモダナイゼーション共創センター」のホームページを日本語で開設し、活用を促していく。
同社は、zシリーズの出荷処理能力累計は過去10年間で3.5倍に成長しているとして、IBMメインフレームの健在ぶりをアピール。基幹アプリケーションをクラウドに移行したユーザーがいるのは事実だが、現在および将来もメインフレームを使い続けたいとするユーザーも一定の割合で存在するとした。今回の「z16」も70以上の顧客と1,100時間を超える対話のもとに共創したものだとしており、すでに2世代先の機種までの開発に着手しているという。
新機種「z16」のポイントは、「意思決定の速度を高めるAI推論と自動化」「サイバー攻撃に対応できるセキュアなシステム」「ハイブリッドアプローチによるモダナイゼーションの推進」の3つ。最新のTelumプロセッサーにはオンチップAIアクセラレーター(AIU)が標準で搭載されており、AI推論を1ミリ秒で実行することが可能。最大32AIUを活用すれば、金融取引におけるすべてのトランザクションをリアルタイムで解析できる1日3,000億回のAI推論を実現できる。これまでのマシンでは、全トランザクションの10%未満を処理して不正取引を“検知”することが精一杯だったが、「z16」は不正を“防止”することも可能になったとしている。また、AIを活用した運用自動化(AIOps)にも有効である。
一方、セキュリティについては、これまでの機種で「全方位暗号化」(アプリケーションデータの包括的で透過的な暗号化を実施)や「Hyper Protect Data Controller」(企業内の機密データをすべて暗号化し、集中的にコントロール)などの機能を実現してきたが、「z16」ではこれに加えてNIST(米標準技術研究所)基準の「耐量子暗号」を本格的にサポートした。将来の量子コンピューターを使った攻撃に備えるためのもので、恐喝や知的財産の損失、機密データの流出につながる可能性があるさまざまな脅威に対していまから対策することができる。
「z16」発売に合わせて開設された「IBM Z and Cloudモダナイゼーション共創センター」は、zシステムを利用する日本のユーザーがアプリケーションやデータ、プロセスのモダナイゼーションを加速できるよう、必要なツール、技術資料、研修などを一括して提供するもの。IBMのエキスパートにここからコンタクトすることもできるという。
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<関連リンク>:
日本IBM(z16 製品情報ページ)
https://www.ibm.com/jp-ja/products/z16
日本IBM(IBM Z and Cloudモダナイゼーション共創センターのページ)
https://www.ibm.com/community/z-and-cloud/ja/