CCS特集2022年冬:日立ハイテクソリューションズ

前準備いらずの材料探索、ポリ乳酸向け添加剤で成果

 2022.12.01−日立ハイテクソリューションズは、材料探索にフォーカスした独自のマテリアルズ・インフォマティクス(MI)である「Chemicals Informatics」(CI)を提供、幅広い分野の材料開発を行う企業から多くの引き合いを得ている。大量のデータを最初から備えており、前準備なしですぐに材料探索が行えることが特徴。このほど、具体的な成果が高分子学会のポリマー材料フォーラムで発表され、その実力に注目が集まっている。

 CIは、3種類の同社独自の人工知能(AI)技術を駆使したシステム。インターネット上に公開されている化合物および特許などの情報をもとに、AIの自然言語処理(NLP)によってデータを抽出するとともに、新規化合物生成AIも活用して創出した化合物情報も盛り込んで、1億以上の化合物データベースをあらかじめ搭載している。実際の材料探索には、独自の掛け合わせ探索手法(特許取得済み)を備えたAIプログラムを利用する。予測できる特性の種類を増やし、将来的には創薬研究への応用も図りたいとしている。

 さて、このCIを活用し、日立製作所、日立ハイテク、日立ハイテクソリューションズの3社共同研究が実施され、バイオプラスチックであるポリ乳酸の機械強度と生分解性を向上させる添加剤を発見、実験的にその効果を確かめた。CIで機械強度と生分解性が最大になる組み合わせを調べた結果、ポリ乳酸の添加剤としての用途が知られていない3,3'−ジチオジプロピオン酸を得た。分子シミュレーションの計算結果を踏まえて実際に有望であると判断。具体的に製作した試験片により、比較の添加剤よりもジチオジプロピオン酸が優れた特性を示すことを実証した。CIの実力が示された実例だといえる。

 一方、日立製作所はMIに基づく「材料開発ソリューション」を提供しており、日立ハイテクもこれと組み合わせたMIサービスを実施中。CIは公開データに基づく解析がメインになるため、ユーザーの社内データを利用した解析や最適化などには、こちらと連携することが有効になる。


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