CCS特集2022年冬:パーキンエルマー
データ技術で研究に革新、リサーチスイート開発強化
2022.12.01−パーキンエルマーのインフォマティクスソリューションは、化学者に長年親しまれている「ChemDraw/ChemOffice」から、製薬業向けに実績豊富な電子実験ノート「E-Notebook」、創薬から臨床研究まで幅広い領域のデータ解析に有効な米TIBCO社の「Spotfire」まで、科学研究におけるイノベーションをサポート。最近ではとくにデータ管理とワークフローのプラットフォームとしての発展を図り、「Signalsリサーチスイート」としての製品開発を強力に推進している。
製品はそれぞれ着実に機能強化されており、ChemDraw/ChemOfficeはバージョン22が先月リリースされたばかり。オリゴヌクレオチドやペプチドなど大きな分子を表示する際の表現力が向上したほか、水素結合のドナーとアクセプターを正しく認識して描画できるようになった。また、オンプレミス型のE-Notebookもカスタマイズ性などが評価されて、化学合成や生物系だけでなく、CMC(製薬・製剤・分析)分野への広がりもみられている。
一方、製品戦略として力を入れているのがSignalsリサーチスイート。クラウド型電子ノート「Signals Notebook」を中心に、Spotfire上で実験に対応した解析ワークフローを使用し、データインポートから正規化・データ除外・各種計算によるエンドポイントテーブル作成・データレイクへの登録までを実行できる「Signals VitroVivo」、Spotfireのデータビジュアル化機能と統合して利用できる意思決定統合プラットフォーム「Signals Inventa」、ハイコンテンツスクリーニング(HCS)などの画像データベース機能と画像解析機能を持つ「Signals Artist」など周辺のアプリケーションも充実し、データ主導型の研究を推進する一貫したソリューションとして注目されてきている。
とくに、Signals Notebookは1年に10回のペースで機能強化が行われているが、ユーザーの要望に基づいた機能強化や改善を的確に反映させるため、ウェブサイト上にアイデアポータルを設置、要望を受け付けている。ユーザーは投稿されたアイデアに対し投票を行うことができる。この1年ほどで400件以上の投稿があったということだ。
さて、今年8月、同社は一部の事業を譲渡すると発表した。分離するのは、分析機器/フード/エンタープライズサービス事業で、パーキンエルマーのブランド名はそちらに付属していくことになる。この譲渡は来年の第1四半期に完了する予定。譲渡完了後の同社は、ライフサイエンス事業と診断事業をメインにするが、インフォマティクス事業もこちらに含まれる。旧パーキンエルマーの中の成長事業が残されるかたちとなり、新社名・ブランド名のもとで、より集中的かつ戦略的に経営資源を再配分し、各市場でのリーダーシップを発揮してさらなる成長を目指すとしている。