横河ソリューションサービスとNTTコミュニケーションズが化学プラント自動運転

AIの判断で運転操作、人と連携し安全に安定的操業

 2023.01.31−横河ソリューションサービスとNTTコミュニケーションズは1月30日、運転員の操作を学習した人工知能(AI)によって化学プラントの自動運転を実現する「オートパイロット」の提供を2月から開始すると発表した。事前に、JNC石油化学の市原製造所に導入し検証したところ、従来技術では制御が難しかった工程の自動運転に成功するとともに、運転員による手動での操作を上回る精度を示したという。

 両社は、プラント運転員の人材確保や技能伝承に関する問題を解決するため、2017年から共創を進めており、段階的にソリューションを開発。「AIプラント運転支援ソリューション」として販売しており、昨年4月にはAIが判断を伝える「ガイダンス機能」を実装している。今回の「オートパイロット」は同ソリューションの新機能として追加されるもので、AIの判断をそのまま運転に反映させることが特徴。

 開発に当たっては、プラントの各種センサーから取得した温度や圧力などのデータと運転員の過去の操作履歴を模倣学習(どのような状況でどう操作したか)させた。実際の運用に際しては、AIの動作保証範囲をあらかじめユーザー側と定め、範囲から外れた場合は運転員に即時通知し、手動運転に切り替えるというフェールセーフを導入。動作保証範囲に復帰すれば、運転員の判断のもとにオートパイロットを再開することができる。人との連携による安全性と継続性を担保した操業を実現するとともに、AI自身も高頻度に自動再学習することによって状況変化への対応力を強める仕組みとなっている。

 JNC石油化学市原製造所での実用性評価実験では、プラントデータをある値で安定させることを目標に、5日間の運転員操作、24時間の連続自動運転、6日間の運転員操作で検証した。その結果、AIの方が操作頻度が高く、細かな操作が多いこと、また操作のタイミングや速度も人より速いことがわかったという。目標値に対する達成度は人手の運転よりも33%ないし51%改善されており、ばらつきも19%ないし28%改善されていた。運転員が操作する場合と比較して、AIは目標値の近くで安定した運転ができるため、品質の安定やコスト削減が期待できるという結論が得られたという。

 導入費用は年間500〜700万円。両社ではまず6社程度の先行プロジェクトを行っていく計画。次年度には数十社の導入を見込んでいる。

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<関連リンク>:

NTTコミュニケーションズ(AIプラント運転支援ソリューション公式サイト)
https://www.ntt.com/business/dx/smart/factory/ai-plant


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