CCS特集2023年夏:ブルカー

ソフト4社で事業体結成、クラウド型電子ノートが注目

 2023.06.28−ブルカーは、医薬品や素材・材料開発のためのラボを支援するソフトウエア事業を強化している。クラウド型研究情報管理ソフトウエア「Arxspan」、さまざまな分析機器の測定データを統合・解析するためのプラットフォームを提供するスペインのメストレラボに加え、品質管理のためのプロセス分析系ソフトウエア技術を持つ英オプティマル(Optimal)、ラボのデジタル変革とバイオ医薬品開発のためのデータプラットフォームを実現する米ゾンタール(Zontal)をグループに加えている。今年6月からは、ソフト4社をまとめた事業体「SciY」(ザイ)が立ち上がった。

 このうち、ブルカージャパンではArxspanのビジネス展開を先行させている。これは、電子実験ノート、化合物・生物情報管理、アッセイデータ管理、生物・化学・サンプル管理、データ解析などの機能を統合したクラウドアプリケーション。昨年夏に米国と欧州に続く第3のデータセンターを日本に開設したことで、研究データを海外のサーバーに置きたくない政府系研究機関や企業8などのユーザーから評価が高まっている。

 海外ではライフサイエンスのユーザーが多いが、国内は化学・材料系ユーザーからの引き合いが活発。とくに電子ノート機能が注目されている。これは、テンプレート機能が柔軟なためで、ユーザーが自由に定義し、入力された項目を定型データとしてデータベース管理することが可能。材料系の実験は多様なスタイルのテンプレートが必要で、オンプレミス型の電子ノートではその都度ベンダーに相談する必要があった。また、最近は手軽なクラウド型ノートもいくつか出ているが、形式が自由すぎてそのあとのデータ活用がしにくいこともあったという。その意味で、Arxspanはちょうどいい頃合いのテンプレート機能を持ち、入力されたデータをただの実験記録ではなく、共有し再利用可能なデータ資産とすることができる。国内サーバーの利点と合わせて、他のノートとの違いを強調していきたいということだ。

 戦略としては化学・材料系に力を入れるが、ライフサイエンス方面もにらんだ事業展開を志向し、このほど湘南ヘルスイノベーションパーク(湘南アイパーク)のメンバーシップを取得した。さまざまなバイオベンチャーをはじめ、先進的なライフサイエンス企業との連携を深める機会とする考え。Arxspanの機能面でも、最近ではバイオ医薬品開発に役立つ機能を重点的にアップデートしているという。


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