CCS特集2023年夏:QuesTek Japan

データ駆動型で材料設計、システム基盤クラウドで提供

 2023.06.28−QuesTek Japanは、米QuesTekと伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)の合弁会社として日本市場で材料設計ソリューションを提供している。グローバルの業績は好調で、昨年は米国の政府機関や軍関係などで大口の受注を獲得、売り上げは前年比で2ケタ増、営業利益も85%以上増えたという。日本でも、顧客でのお試し評価が進み、実際のものづくりに採用されるなど実績が出てきている。今年は

日本法人としての活動を活発化させ、ウェビナー開催やイベント開催などを通じてさらなる知名度の向上を図る。

 同社は、マテリアルズ・バイ・デザインと呼ばれる独自のICME(インテグレーテッド・コンピューテーショナル・マテリアル・エンジニアリング)に基づいたソリューションを構築している。材料プロセス、材料組成、材料特性、材料性能の間の相関関係を見いだし、データサイエンスとマルチスケールシミュレーションの両方を駆使して要求性能を満たす材料設計やプロセス最適化を行う。開発コストの削減や時間短縮、これまで達成できなかった特性を備えた新規材料の創製を可能にする。

 これまでは、データ駆動型材料開発のパートナーとして、受託研究スタイルの事業を展開してきていたが、今年7月からICME自体をクラウドで提供するサービスを開始する。ユーザー自身がICMEを使った開発を実際に行うことが可能。もちろん、ICMEのコンセプトを十分に理解し、ツールの使用法にも習熟する必要があるため、トレーニングなどの導入・利活用のサポートは手厚く行う予定である。

 一方、QuesTek Japanと連携するCTCの材料・CAEビジネス部では、マテリアルズ・インフォマティクス(MI)のためのデータ収集基盤構築に力を入れている。利活用できるデータが揃っていない顧客が多いためで、実験データを効率良く集める仕組みづくりや、過去のドキュメントからデータを抽出するなどの取り組みを進めている。また案件によっては、AIビジネス部が担当する「MI Success Lab」と連携することもあるという。こちらは、高度なデータサイエンスを基本とする視点から、具体的なテーマに応じた分析の代行やMIスキルのトランスファーを目指すもの。さまざまなニーズに対応できることがCTCの強みとなっている。


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