米CASとポーランドのMolecule.oneがAI応用で戦略的提携
生成AIで合成可能性を予測、逆合成検索機能の強化も
2023.08.18−ケミカルアブストラクツサービス(CAS)は11日、低分子創薬の生産性を向上させるため、ポーランドのワルシャワに本社を置くMolecule.one と戦略的提携を結んだと発表した。CASが蓄積している世界最大級の化合物情報を利用して学習した生成AIを使って、新しい低分子薬候補化合物の合成のしやすさなどを評価したり、最も効率的な合成経路を的確に探索したりできるようにする。今週、サンフランシスコで開催された米国化学会「ACS Fall 2023」で公開された。創薬研究の確実性と効率性が高まると期待される。
Molecule.oneは、独自開発した深層学習モデルをコア技術とする企業。今回、CASのコンテンツを用いた学習済み生成AIを開発し、「M1 RetroScore powered by CAS」として製品化した。既存製品である合成アクセシビリティ評価ツール「RetroSAS」の後継製品になるもので、生成AI技術の最新の進歩を反映させるとともに、CASによる最上級のデータに基づいた学習を行うことにより、スコアリングの精度が大幅に向上しているという。合成アクセシビリティスコア(SAスコア)および指定したターゲットに対する最良の合成経路を提示することができる。CASの科学者向け情報検索ツール「CAS SciFinder-n」のユーザーはこのツールを使用することが可能であり、プラットフォーム内の参照反応と接続している。
また、両社はさらに「CAS SciFinder-n」に搭載されている逆合成検索機能の強化でも協業を進めていく。Molecule.oneの深層学習モデルを組み込んで合成前駆体予測を改善し、潜在的な合成経路をうまく探索できるようにする。新規性の高い経路も出力されると期待される。従来の合成経路予測では、新規性の高い経路は合成困難なものが出てくることが多かった。生成AIのSAスコアを反映することがブレークスルーになる可能性もあるだろう。
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