CCS特集2023年冬:アフィニティサイエンス

低価格でSBDDが可能、ベイズ最適化など機能強化

 2023.12.05−アフィニティサイエンスは、創薬や材料研究を支援するパッケージソフトの販売から、計算科学を利用するためのコンサルティングや受託研究サービスまで、幅広い視点で研究開発をサポートしている。

 とくに、今年力を入れて販売してきたのがオーストリアのヤサラバイオサイエンスが開発している分子モデリングソフト「YASARA」。ドッキングシミュレーション、高速な分子動力学計算、ホモロジーモデリングなど、構造ベース創薬(SBDD)のための本格的な機能を備えていながら、非常に低価格で利用できることが特徴。430を超える多彩なコマンドを持ち、マクロでの自動化によって、複雑な計算や解析などの自動実行が可能なほか、GPU(グラフィックプロセッサー)も追加の負担なしで無制限に使用できる。

 価格は、教育機関向けで8万円ほど、民間企業向けでも70万円ほどと、同様の機能を持つ他社製品よりもかなり安めに設定されている。日本語ガイドも作成したことで問い合わせも増え、実績も広がってきているが、同社ではさらに利用者の裾野を広げたいとしている。最新版はアップルのM1/M2プロセッサーに対応したことで、パフォーマンスが50%以上向上しているという。

 一方、最近のトピックスとしては、エイゾスが提供するノーコードAI解析プラットフォーム「Multi-Sigma」がアップデートされた。プログラミングなしで、深層学習とベイズ最適化による予測、遺伝的アルゴリズムによる多目的変数に対する最適化を実施する機能を持っている。開発現場において、材料投入量/温度/時間など複数の要因と、品質/コスト/環境負荷などの複数の目的変数がある場合に、革新的な実験計画法によって開発の効率化を支援できる。今回の機能強化では、要因分析結果のバーチャート表示、ベイズ解析でのプロファイリング機能、すべての解析処理を途中終了させることができる機能など、使い勝手の改善が図られている。

 また、分子設計や構造活性相関解析で人気がある伊アルバサイエンス製品群では、オンライン講習会を通じて理論的背景や基本的な操作法を解説する活動を行ってきている。ハンズオン形式で実際に使用できるため、購入前に試してみたいというユーザーも歓迎。直近では、7日と14日に開催する予定で、詳しくは同社ホームページまで。


ニュースファイルのトップに戻る