CCS特集2023年冬:コンフレックス

配座探索ソフトの最新版、結晶計算関係の新機能追加

 2023.12.05−コンフレックスは、計算化学を専門とする企業で、自社開発を含めたパッケージソフトの提供から、技術サポートや受託計算、講習会を通した計算化学の普及・啓発、科学研究費助成事業(科研費)などを活用した独自研究まで、幅広く活動している。

 パッケージソフトは、自社開発の配座探索・結晶構造探索ソフト「CONFLEX」、米ガウシアンの分子軌道法ソフト「Gaussian」、米カリフォルニア大学の分子動力学法ソフト「Amber」、米レビティ(旧パーキンエルマー)の「ChemDraw/ChemOffice」と計算化学分野の代表的なソフトを揃えている。

 主力製品のCONFLEXは、最新のバージョン9リビジョンCを今年7月にリリースしたばかり。新機能は結晶計算機能の追加で、分子間に調和ポテンシャルを使用することで擬似的な力を付加できるようになった。非対称範囲の分子間配置に制約を課すことができる。また、結合次数補正機能が追加され、結合の総数が原子価より少ない原子同士が結合している場合、水素原子を付加する前にその結合の次数を補正することが可能。部分的な構造の固定や結合情報を入力ファイルに反映した上でGaussianを呼び出すことができるようになっている。インターフェース機能も改善され、グラフィック表示の高速化・高精細化を含めて使いやすさも向上。macOSの最新版に対応させたほか、Linux関係はUbuntuを新たにサポートしている。

 一方、今年とくに好評なのが講習会。CONFLEXやGaussianも対象にしているが、Amberの講習会は人気があるという。企業ユーザーからの問い合わせが増え、有料の講習会だが公式スケジュールはすぐに埋まってしまい、個別ニーズで追加開催したことも多かったという。Amberはコマンドライン操作でインストール作業も難しいため、初めて使ってみたいというユーザーには敷居が高い。同社の講習会では、電子ノートのJupyterノートブックを使用し、座標ファイルの作成、MD計算用入力ファイルの作成、MD計算の実行、結果ファイルの解析、グラフィック表示までを対話的に行う方法を解説している。

 最新のAmber22とAmberTools23は、今年4月からアカデミックユースが無償となったが、大学などの利用者が増えたことで同社にはサポート依頼が増加。企業ユーザーの関心も高くなり、結果的に裾野が広がることになったようだという。来年にはAmber24がリリースされる予定であり、引き続き注目を集めそうだ。

 そのほか、研究機関としての活動としては、科研費で「有機金属錯体の結晶構造と動的挙動を解析するための汎用力場の開発」を推進中。直近では、8月にメルボルンで開かれた国際結晶学連合学会「ICCr2023」に参加したほか、日本化学会・有機結晶部会が11月に開催した「有機結晶シンポジウム2023」でポスター発表を行った。同社では、今後とも結晶関係での研究活動を続けたいとしている。


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