CCS特集2023年冬:パトコア

機械学習を組織内で活用、試験依頼ニーズに柔軟対応

 2023.12.05−CABC'S(カブクス)グループのパトコアは、最先端のケムインフォマティクス/バイオインフォマティクス技術を基盤に、低分子だけでなくペプチド、核酸、抗体などさまざまなモダリティに対応した創薬支援ソリューションを提供。化学特許支援ツールや、法令順守の観点で化学物質管理ソリューションにも力を入れている。

 製品戦略としては、ハンガリーのケムアクソン製品に重きを置いているが、ユーザーのきめ細かな要望に応えるかたちで、自社開発によるパッケージソフトにも力を入れている。最近製品化したのが効率的な試験依頼環境を実現する「Quick Request」。合成した化合物を試験にまわす際の「化合物登録」「依頼」「承認」「受付」「完了通知」という一連のワークフローを支援できる。こうしたシステムは、内製化していたり、エクセルで行っていたり、電子実験ノートに組み込まれていたりすることもあるが、「一定数をまとめてから依頼したい」「装置の問題で依頼を一旦差し戻したい」「最低試験量に満たない場合は承認できない」など、かゆいところに手が届かないケースもあったという。今回の製品はカスタマイズが容易で、API(アプリケーションプラグラミングインターフェース)による他システムとの連携も可能。ケムアクソンの創薬プロジェクト管理のためのコラボレーションプラットフォーム「Design Hub」と連携して、試験依頼の進捗管理を一元化できるほか、単独でも利用できるように仕上げられている。

 一方、「Design Hub」は、CRO(医薬品開発受託機関)などの外部のパートナーと連携しながらのDMTA(設計・合成・評価・分析)サイクル基盤となる製品で、データ駆動型創薬を支援する上で最適な機能性を実現していることから、国内でも関心が高まっている。とくに、最近の機能強化により、機械学習モデルを作成し実行できる機能「Trainer Engine」を追加した。社内に蓄積したデータを使って、生物活性や物理化学的特性などの予測モデルを、組織的な規模で効率的に作成することが可能。モデルは「Design Hub」に登録しておけるので、研究者は設計中の化合物の活性などを即座に評価できる。学習からモデル共有までのプロセスを自動化・標準化できることが特徴だという。

 そのほか、ケムアクソン製品の「cHemTS」の引き合いが活発。化学物質の貿易で必要となるHSコードを簡単に調べることができるソフトで、構造式で国ごとのコードを検索するが、構造式がわからなくてもIUPAC名やCAS登録番号から構造式を生成する機能がある。誤ったHSコードを割り当てるミスがあると、通関の遅延を招くこともあるため、構造式に明るくない貿易関係者にも使いやすいと好評である。


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