CCS特集2024年夏:コンフレックス
専門サポート強化し支援、錬金術的FEP計算を実行
2024.06.25−コンフレックスは、自社開発の配座探索・結晶構造探索ソフト「CONFLEX」に加え、米ガウシアンの分子軌道法ソフト「Gaussian」、米カリフォルニア大学の分子動力学法ソフト「Amber」、米レビティの「ChemDraw」と、計算化学分野の代表的なソフトを提供。同社は文部科学省から指定された研究機関でもあり、専門的なサポートで計算化学の浸透に貢献している。
自社製品のCONFLEXは、昨年バージョン9リビジョンCをリリースしたが、現在は次期バージョン10に向けた開発を進行中。そのため、今年のビジネスとしては、最新版が出たばかりのAmber24やChemDraw V23を前面に打ち出していく。
Amberは昨年からアカデミックユースが無償になった。そもそもソースコードをコンパイルする必要があり、インストールも知識がないと難しく、ソフトの操作もコマンドラインから行う。このため、サポートに対する要求が増え、入門から応用編までの講習会の需要も拡大している。最新版は今年4月末にリリースされたAmber24/AmberTools24。AMD製GPU(グラフィックプロセッサー)のサポートなど、GPU対応機能が強化されたことに加え、錬金術的な状態間の変換経路/ソフトコアポテンシャルおよび錬金術的強化サンプリング(ACES)法の改善が行われたことがポイント。“錬金術的”とは、結合自由エネルギー(FEP)計算を行う際、実際に起こらない物質の変換などを計算中にあえて組み込む方法で、エラーを減らす効果があるという。さらに、リガンド−タンパク質間相互作用を解析するLIG-GaMDにより、ポテンシャル曲面が正確に扱えるようになった。AmberTools24では、力場パラメーターが追加・更新されているほか、トラジェクトリー解析プログラムが大幅に機能強化されている。
一方、レビティ製品はChemOfficeはバージョン23から名前が変わって「Signals ChemDraw」となり、フル構成の年間ライセンスのみでの提供になった。企業・官公庁は5ライセンス以上での購入が必要。そのほかのパッケージは「ChemDraw Professionals」と「ChemDraw Prime」でこれらは永久ライセンスでの購入もできる。Professionalsは以前からのChemFinderやChem3Dの機能を含んでおり、Primeは2次元作図に特化した製品となっている。
また、ChemDraw23の新機能としては、スマートペーストがあげられる。作成中あるいは表示中の構造があるときに、新しい構造式をペーストすると、既存の分子と重ならないように空いたスペースに貼り付けてくれる。また、ダークモードのスタイルシートが追加されている。
同社では、今年からChemDraw専門のサポートスタッフを採用。新規ユーザー開拓にも積極的に乗り出す方針である。化学者にとって標準的なツールであり、学生時代から社会人を通して長く使用するソフトでもある。講習会も企画中。サポートに満足してもらい、ユーザーとの長い付き合いができることを期待しているという。