CCS特集2024年夏:パトコア
AI応用の特許情報提供、医薬・化学向けに分析・調査
2024.06.25−CABC'S(カブクス)グループのパトコアは、創薬・化学物質管理・知財戦略DX(デジタルトランスフォーメーション)のパートナーとして最新のITソリューションを提供。創薬モダリティの多様化、人工知能(AI)などの技術革新、オープンイノベーション型の研究活動など、複雑で急激な変化に対応できる研究環境を支援している。
同社では今年4月、新しくシンガポールのPatsnap社と代理店契約を締結し、これまでにないユニークな特許情報ソリューションの提供を始めた。世界170カ国の特許情報や2億本近い学術論文をベースに、AIによって解析・要約した情報をわかりやすく伝えるもので、特許自体はあらゆる領域を含んでいるが、パトコアでは医薬や化学に関係した製品群を中心的に取り扱っていく。
具体的に、基本となる特許検索・分析ツール「Patsnap Analytics」のほか、創薬研究に役立つ製品群をラインアップ。「Patsnap Synapse」は、医薬品、臨床試験、ニュース、文献、特許を一度に検索でき、ホワイトスペースの特定や潜在的な脅威の予測を支援することが可能。研究開発、ライセンス契約、M&A、マーケティングの意思決定をサポートし、特許や競合リスクの特定、疾患領域や承認情報の把握にも利用できる。また、「Patsnap Bio」は製薬、バイオテクノロジー、農業業界に特化し、DNA、RNA、タンパク質配列の検索を通じて特許情報や豊富な非特許文献リソースを特定。
さらに、「Patsnap Chemical」は、化学構造検索またはCAS登録番号や名称、各種プロパティーなどによる検索により化学物質を特定し、それらに関連する特許、文献、リストを整理して表示する。化学構造と特許の検索・解析をワンストップで実現できる。2億7,000万件以上の化学構造式、113の法域に渡る4,900万件以上の特許、2,560万件以上の文献情報を収録している。「Patsnap Eureka」は特許専用の生成AIであり、普通の質問文で、直接知りたいことをAIに聞くことができる。Patsnap製品は、直感的で使いやすいSaaS(サービスとしてのソフトウエア)で、ビジュアル分析に強い。グローバルな技術情報を包括的に把握することに適している。
一方、既存の事業では、ケムアクソン社のコラボレーションプラットフォーム「Design Hub」の普及に力を入れている。グローバルに進められる創薬プロジェクトを効率的に管理でき、電子ノートやエクセルなどの分散した情報を体系的にまとめ、共有することができる。AIモデルも簡単に登録し、候補物質のAIでの評価を瞬時に行うなど、AI時代に必要なプラットフォームともなっている。欧米での導入実績は着々と伸びており、国内の普及にも粘り強く取り組む方針だ。