CCS特集2024年夏:SciY(ブルカー)
4領域でデータ利用統合、研究から製造までラボ改善
2024.06.25−SciY(サイ)は、ブルカーのインテグレーテッド・データ・ソリューションズ(IDS)事業の総合ブランドで、4つの主要セグメントに革新的スタートアップが結集。全体で300人以上の人員が配置され、スペイン、米国、ドイツ、中国、英国に開発拠点を持っている。研究開発におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)のためのプラットフォーム提供を目指しており、電子実験ノートから、開発・製造用機器のデータ統合、自動化、データ分析まで、さまざまなソリューションを組み合わせた最適解を提示できる。
SciYを構成するのは、分析ソリューションの「Mestrelab」、科学データ管理とワークフローを実行し洞察を得る「ZONTAL/LOGS」、電子実験ノートソリューションを中心にした「Arxspan」、プロセス分析技術(PAT)に基づく産業オートメーションの「synTQ」。ブルカージャパンは、Arxspanをメインに国内で販売・サポートを行ってきたが、今年度から組織を刷新し、IDS事業として4分野を一括して取り扱う体制に変わった。クラウド中心のサービスである特徴を生かしながら、国内の事業体制も拡大・強化していく方針である。
とくに、Optimal製品の「synTQ」はあらゆるプロセス改善に最適なツールで、ラボや工場内で使われているあらゆる機器と付属機器の実質上無限の組み合わせに対応できる。リアルタイムで製品の品質属性を監視でき、品質・時間・コストを最適化できるように制御することが可能。「SciYbotic Labs」としてロボティクスにも対応している。
「ZONTAL」は、探索研究から開発、製造までのデータを集約し、取得したデータを管理するためのエンタープライズソリューション。各種分光計から日常使いの秤量機器まであらゆるソースからのデータを自動的に転送できるよう400種類以上のデータ形式に対応。データをベンダーニュートラルな形式に変換して取り込むため、蓄積したデータを活用する際にも有効。電子ノートのデータも集約することが可能であり、実際の機器のデータと紐づけることも容易。電子ノートをリプレースした際に、以前のノートのデータを再活用することもしやすいという。
「Arxspan」も機能拡張を続けており、創薬モダリティに対応した機能が充実しているほか、化学・材料研究に向けてもプロセスケミストリー分野などで柔軟な使用が可能になってきている。また、分析化学ラボの業務支援を行う「Mestrelab」は、NMR、LC/GC/MS、IR、UV-Vis、ラマンスペクトルなどのデータ処理と解析のプロセスを網羅し、幅広いアプリケーションを包括的にサポートしている。機械学習を利用したNMRスペクトル予測で長年の実績を持つほか、最近では深層学習の最新成果を利用し、分光データからの構造解明という“逆問題”にも取り組んでいる。