CCS特集2024年夏:TSテクノロジー

PIを産業のインフラに、15周年でHPリニューアル

 2024.06.25−山口大学発ベンチャーとしてスタートしたTSテクノロジーは、今年で創業15周年を迎える。化学反応の遷移状態(TS)データベース「TSDB」、反応速度論シミュレーターを得意技術とし、計算化学の高度な活用を図っている。受託研究サービスで独自のノウハウを提供するとともに、実験化学者が自ら計算できるようになると、専門知識との相乗効果で理解や応用展開が早まるとして、計算化学の大衆化にも積極的に取り組んでいる。

 同社は現在、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「機能性化学品の連続精密生産プロセス技術の開発」(プロジェクトリーダーは中部大学の山本尚教授)に参画中。デジタル駆動化学、プロセスインフォマティクス(PI)の領域で注目されているプロジェクトで、昨年の中間評価でも良好な結果を得て、最終の2025年度に向けて研究を加速させている。PI基盤を産業インフラとして整備することが目的で、基幹5反応を含む10個ほどの製造プロセスを確立することが最終成果になるようだ。研究を進めるに当たって、TSDBを利用して反応機構を解析する独自のTSモチーフ法が使われているほか、反応速度論シミュレーターはプロセスの概念設計に応用され、装置の最適化や運転条件の最適化などに役立っている。

 さて、同社は創業日の6月23日にホームページをリニューアル公開した。パソコンでもスマートフォンでも適切に閲覧できるようになり、計算化学で化学産業に貢献するという理念を明確に示したという。新しい情報発信がやりやすくなったため、受託計算などの事例を解説したテクニカルノートを充実させていくほか、情報更新の頻度もアップさせる。また、上半期中には、高性能なパーツを独自に組み上げて提供する科学技術計算用並列高速計算機「NGXシリーズ」のショッピングサイトも立ち上げる。マシンの構成をカスタマイズして見積もりを表示することも可能になる。

 そのほか、計算化学に役立つオープンソースやフリーソフトをピックアップし、ダウンロードできるようなサービスも計画している。


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