ロックウェル・オートメーションが製薬向けMESに力

デジタルプラント成熟化へ道、電子バッチ記録をサポート

 2024.11.01−ロックウェル・オートメーション(矢田智巳社長)は、日本市場に対して製薬業向けの製造実行システム(MES)の提案に力を入れる。製造プロセスを標準化・自動化して、品質の安定やコスト削減に効果をもたらすもので、製薬業におけるデジタルプラント成熟度モデル(DPMM)の適用に道を付けることが可能。国内で大手製薬企業と導入プロジェクトが進行しており、来年早々にはセミナー開催などを計画し、本格的な営業活動を展開していくことにしている。

 同社は米国に本社を置き、100以上の国や地域に拠点を持つ企業で、組み立て加工業とプロセス産業の両方に向けた産業用オートメーションとデジタルトランスフォーメーション(DX)に注力している。フォーチュン500のライフサイエンス企業の95%が同社のソリューションを導入しているという。

 DPMMは、バイオ医薬品の業界団体であるBioPhorumが策定したデジタル化の指標で、紙ベースから自動化が進んだ工場まで5段階に分類し、その段階に沿って評価することにより、自社の現在地と今後のデジタル化戦略を推進する目的で利用されている。個別設備の自動化にとどまるレベル2「デジタルサイロ」、自動化システムの垂直統合や標準化への対応が進んだレベル3「コネクテッドプラント」、企業レベルのバリューチェーンへの製造データ統合が行われ、製造現場におけるデータ分析も高度化したレベル4「予兆型プラント」、エンドツーエンドの統合が行われ、自律的な機械学習を備えたレベル5「適応型プラント」に分けられている。現時点では、ほとんどの企業がレベル2からレベル3くらいに位置しているという。DPMMレベルを先へ進めるためには、MESの導入が有効であるとされている。

 同社が提供している「FactoryTalk PharmaSuite」は、GMP(医薬品の製造管理および品質管理の基準)準拠、CSV(コンピューターシステムバリデーション)対応済みの製造実行管理システムで、完全な電子バッチ記録(EBR)サイクルをサポート。レシピ・設備設計から製造フローの管理、作業指図や製造ステップの記録、トレーサビリティ支援、バッチレビューまで、データインテグリティを確保しての一元管理を可能とする。材料のトレーサビリティはエンドツーエンドで管理され、万が一の取り違えもシステム側で検知・抑制できる。

 最新のバージョン11.02.00では高性能アップグレードエンジンが追加され、最小限のダウンタイムでソフトウエアの更新が行えるようになったほか、監査証跡の機能強化により、改ざんが防止された記録に素早くアクセスできるようにすることで規制順守とトレーサビリティを確保。また、コールドチェーン追跡機能も更新されており、熱に敏感な材料を追跡して品質を維持し、製品の廃棄を削減することを可能にしている。規制への対応では、バッチプロセス制御やバッチ制御の標準であるISA-S88をサポートしている。

*****

<関連リンク>:

ロックウェル・オートメーション(トップページ)
https://www.rockwellautomation.com/

ロックウェル・オートメーション(ライフサイエンス向けソリューションのページ)
https://www.rockwellautomation.com/ja-jp/industries/life-sciences.html


ニュースファイルのトップに戻る