CCS特集2025年夏:アフィニティサイエンス
記述子計算ソフトに関心、日本語ドキュメントを整備
2025.06.24−アフィニティサイエンスは、計算科学を利用した研究開発支援ソフトウエア製品を販売する一方、兄弟会社のアフィニティネクサスを通して、医薬や機能性材料の研究開発、受託・共同研究、コンサルティングなどのサービス事業を充実させていく計画。製品とサービスの両輪で安定した事業展開を図っていく。
ソフトウエアパッケージは多種の製品を取り扱っているが、最近注目度が高いのが伊アルバサイエンス製品。記述子計算の「AlvaDesc」、de novo分子設計を行う「AlvaBuilder」、QSAR/QSPRモデル作成と推算を行う「AlvaModel/AlvaRunner」、分子データセットを可視化・分析する「AlvaMolecule」などで構成されている。定期的に機能強化が実施されているが、今年の夏にはメジャーバージョンアップが予定されているため、ユーザーの期待値も高いとみられる。同社では、ウェビナーなどで製品の概要を紹介するほか、基礎的な内容のオンライン講習会も開いて、活用を支援している。
また、オーストリアのヤサラバイオサイエンスが開発している分子モデリングソフト「YASARA」も人気がある。こちらもバージョンアップがコンスタントに行われており、大学関係だけでなく企業からの問い合わせも増加。同社の方で日本語のスタートアップガイドを作成し、初心者の利活用をサポートしている。アルバサイエンス製品も同様だが、日本人には海外ソフトのドキュメント関係がわかりにくいことがあるため、それを補う日本語ドキュメントを整備することも代理店の仕事だとして力を入れているということだ。
さらに、販売実績が豊富なオーストリアのインテ・リガンド社の「LigandScout」は、新バージョンの開発が進んでいるが、リリースはまだ少し先になるようだ。ファーマコフォアモデルによるインシリコ創薬の包括的ソフトウエアで、数千万から数億の大規模スクリーニングに対応させるため、アルゴリズムの高速化などが図られているという。
一方、米キューケム社の非経験的量子化学パッケージ「Q-Chem」をアマゾンウェブサービス(AWS)のクラウド上で利用できるサブスクリプション型サービス「Q-Cloud」の取り扱いを4月から開始した。ハードウエアの性能やメンテナンスを気にすることなく、最新バージョンのQ-Chemを利用することができる。使い易いコマンドラインインターフェースからすぐにプログラムを走らせることができ、動作するノード数はジョブの実行に必要な数に基づいてオンデマンドで自動的にスケール(増減)される。Q-Cloudの利用自体は月額または年額の固定料金だが、AWSリソースの使用量に応じて別途費用が必要になる。